第5話
(なんだ?アイツ…!?)
かすみはツカツカとヒールの音を鳴らし、会社へと向かっていた。
かすみは、弱小の芸能事務所に務めている。
「おはようございます」
普段、事務所の鍵を開けるのはかすみの役割になっていたのだが、この日は既に入口が開いていて、誰か先に来ているようだった。
(鍵…私の他に誰が持ってるんだっけ…?)
恐る恐る入口から入ると、中には特に誰か居る気配はなかった。
(あれ、もしかして昨日誰か閉め忘れてた?)
かすみは鍵をキーボックスにしまい、同時に鍵の数もチェックする。
(…足りてるな…、なんでだろ)
首を傾げながら自分のデスクへと荷物を置き、日課となりつつある掃除を始める。
教務部のフロアを掃除し終わり、芸能部のフロアを掃除し始めた時にはかすみの頭から鍵のことなど消えていて、首を動かす度に少しひりつく噛み跡のせいで再び秀のことを考えていた。
(よく考えたら私が面倒見る義理とかないじゃん!なんで当たり前のように家にいて、しまいには私の血吸って不味いとか文句言われなくちゃいけないの!?)
「今日追い出す!つか、家に入れない!」
かすみはグッと箒を握りしめ、そう自分に言い聞かせた。
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