第3話

「いえ!私のことはお構いなく!まだ走ります!」



ぜーぜーと息を切らせながら頑として足を動かすかすみに、白川はキャラメル色の目を驚いたように開いた。



「そう?じゃあ、どこまで走るのか決めようよ。僕も君と一緒に走るから、ね?」



ニッコリと微笑んだ白川は少しも息を切らせることもなく、尚もかすみへ話しかけてくる。



「〜〜〜〜!!」



(こっちはそれどころじゃないんだっつの!ついてくるなら勝手にせい!)



かすみは返事も返さず、心の中で悪態をついた。



すると、白川は小さな声で「分かった、そうする」と呟いて前を向いた。



そして、白川がやっとなにも話さなくなった時、急にかすみの足が重くなり、次第に動かなくなってしまった。



「え、な、んで!?」



困惑するかすみに、隣りにいた白川が小さく微笑み、「だから今日は休もうって言ったのに」と言って、その場にかすみを寝かせる。



「えっ、いや…ここ地面…」



ゴツゴツと硬い煉瓦の敷き詰められた地面に、かすみがクレームを言うと、



白川は「じゃあ、こうしようか」と言ってかすみの体を自分の体へともたれさせた。



「ありがとうございます」



(確かに地面よりこっちのがマシか)



「かすみちゃん、こっち見て?」



「??」



地面に座り、背中を白川に預けた体勢ですぐ後ろから囁かれたすみれがパっと声に振り向くと、




瞬時に唇を奪われてしまった。



「んん〜〜!?」


突然のことに目を見開くかすみの後頭部を押さえ、白川は貪るようにかすみの舌や唾液を吸い上げる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る