第2話
「うぅぅぅ〜…!」
足が重くなるタイミングと、息苦しさが限界値に達するのと同時に、
自分の真横に謎の爽やかな風が吹き、次の瞬間にはキラキラと白い光を放つ星屑を纏った様な、"嫌に"上品な男子生徒が唐突に現れた。
「かすみちゃん、苦しそうだね?」
「はぁ、はぁ…く、苦しくないです!」
キラキラと煌めくその男子生徒は、秋の陽の光にその金髪の髪をほのかに輝かせ、キャラメルのような甘い瞳でかすみに微笑みかける。
「どう見ても苦しそうだよ?今日はこの辺で休もうよ」
「いや!私はまだ走れます、ほっといてください!」
「僕が君をほっとくなんて出来ないよ。ね、今日はここで諦めよう?」
白川はいつもこうだ、
かすみの隣を涼しい顔で颯爽と併走しながら、"ここで諦めろ"と促してくるのだ。
(なんでいつもいつも私だけに来るんだ…!)
かすみは元々走ることが好きな訳では無い。
最初にこの夢を見た時は、この白川が救世主のように見えた。
ただ、回数を重ねるごとに白川が"確定演出"であることに気が付いてから、"白川の先"へと進んだらどんな展開が待っているのか気になりだし、
ここ3日間ほど白川を振りほどこうと試みているのだ。
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