第17話

朱殷がバタンッと事務室を出ると、様々な香水をまとったキラキラと着飾ったホスト達がバタバタと行き交っている間を縫って、お客の目に止まらぬ速さでサッとトイレへと入り込んだ。




(まっ、間に合った……!)



いやぁ〜、マジで社会的に終わるかと思ったぁ…



なぜ朱殷がここまで緊迫していたのかというと、



それは遡ること10分ほど前………



"「だって僕が黙ってたってお客は途切れない訳だし、横山嬢にそこまで心を割く必要あるのかなーって。めんどくさくない?」



「………………」←※ここ。"



実はここの時点で朱殷は強烈な尿意を感じていたのだ。



しかしこの時の恋の心無い言葉に、一旦それどころではなくなり、しばらく言いたい放題言った後、




それまで体が忘れていた尿意を再び思い出し、とうとう……




"動揺の隠しきれない僕に、女は小声で「羨ましいなぁ」と呟いて椅子から立ち上がった。←ここ。"



で堪えきれなくなり、適当に話をまとめて現在に至るという訳だ。

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