第13話

「……別にそこまで考える必要ある?」



「え?」



「だって僕が黙ってたってお客は途切れない訳だし、横山嬢にそこまで心を割く必要あるのかなーって。めんどくさくない?」



「………………」



自然に出た僕の言葉に、女は一瞬黙り込むと、黒目がちな瞳で僕を観察するように見つめた。



「?なに?」



「いや、"心を割く"って言いましたけど、恋さんてその"心"無いですよね?」



「………は?」



見透かす様な瞳で僕を真っ直ぐ見つめる女に、僕の冷たく、熱を失ったはずの心臓がドクリと跳ねた気がした。

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