第14話
「だってそうじゃないですか、相手を怒らせてしまった理由を考えるなんて、"心を割く"内に入りませんよ。人として当たり前じゃないですか。ましてや貴方は"ホスト"という相手を"楽しませる"仕事をしているんです、今の発言とフロアでの行動、どう照らし合わせても上客を何人も抱える上位ホストとは思えないですね。貴方は一体何処にその心を置いてきたんですか?」
「………………」
何処に置いてきた?
決まってる、僕の心は今も"彼女"のものだ。
彼女を失った僕は、
恋を失い、
そして心も失った、
だからどうでもいいのだ。
なにが正しいとか、自分がなにをするべきなのかとか、全部放棄。
だって彼女の為の僕なのに、彼女は今も僕ではない"誰か"に微笑んでいるんだ。
そう考える度に、馬鹿らしくて、憎らしくて、悔しくて、だけど愛おしくて、
彼女の思い出に思考を巡らせる度に、見捨てられた絶望と、醜く強い愛憎が僕の体を丸呑みにして、
彼女への想いで熱く鼓動していたはずのこの胸の心臓も、あれきり冷えきって鼓動を止めたのだ。
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