"もう一度宿した灯り" 三章(後編)

第20話 "奏"

中央玄関に着いく靴に履き替えて外に出ると奏の姿があった。奏がこちらに来て「優斗それじゃあ行こっか。」と言うので「そうだね。」と奏と一緒に歩くのだった。いつものように歩いていると金手が思いもよらないことを言い始めた。「ねぇ優斗、優斗って優しいよね。いつも車道の方を自然と歩いてくれるし、あの時もそれで私を守ってくれた。ありがとう。」と私の脈が上がり私は急いで「なんのことだ?」ととぼけると奏は「優斗少し寄り道していこう?公園で少し話さない?」と奏が聞いてきたので私は「良いよ。」と言いながら公園に向かうのだった。

公園に着いてベンチがあったので私は「奏座らないか?」と聞くと「うん、」と言いベンチに座ると奏が「ねえ優斗、今の優斗は私が知ってる優斗なの?」といきなりそんなことを奏が聞いてくるので「私は奏が知ってる優斗だよ。何も変わってないよ。」と私が言うと「なら質問を変えるね。貴方は何で今生きているの?」と先程よりも落ち着いた声で奏が思いもよらないことを聞いてきたので「なんでそんなことを聞くんだい?」と私が聞くと「今日の授業で優斗変だったでしょ。その時に全部思い出したの。私達が高校生だったこと。あの日事故に遭ったこと、そして貴方は私を守って一人亡くなったこと。もし隠し事をしているなら隠さないで欲しい。」と優しく奏は言ってくれたので私は少し悩みながら「そうだよ。私はあの日奏と一緒に事故に遭って亡くなった。今の私は蘇ったわけじゃない。残り"半年"で私は消える。ただ在りもしない時を生きて突然消えるそんな存在が今の私だ。」と言うと奏は悲しい表情をしたので「そんな顔になる必要はないよ。」と言うと「そうだね。でも半年も優斗と一緒に居られるんだね。」と奏は言うので「なんで"半年"なのか聞かないのか?」と私が奏に聞くと「優斗が正直に明かしてくれたから私も言うね。私本当は人間じゃないの私の本当の姿は"天使"なの。だから優斗の今のことは分かるの。」と聞き覚えのある単語が聞こえて「信じてもらえないことは分かってる。」と言うので私は「いや信じるさ。私がここに居られるのは天界で出逢った"天使"達のお陰だから。」と言うと「ねぇ優斗、"灯火"の流星群覚えてる?」と聞いてきたので私は「ああ、覚えているよ。その"灯火"のお陰で"ネオ"と"エンジェル"に出逢えた。」と言うと奏は頷き「やっぱりネオとエンジェル達なんだね。ネオは私の妹よ。妹がお世話になったわね。」と奏が言うと「そうなんだ。じゃあ奏の髪が青いのもそうゆうことなのか?」と私は気になったことを聞くのだった。奏は私の出逢った人達で唯一髪が綺麗な青色で染めたとは到底思えない透き通った綺麗な髪をしていた。ずっと気になったことを今聞いてみたがやはりヤバイことを聞いてしまったかと思っていると奏が「そうだよ。私の髪が皆と違って青いのは私が"天使"だから。」と言って続けて「そろそろ帰ろっか優斗。」と言って奏はベンチから立ったので私も立ち歩き始めるのだった。

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