サービスシーン

登場人物

ケン:主人公。性別は男。実家暮らし。

シノ姉:年上の従姉妹。ケンと同じ大学に通っており、ケンの実家に住まわせてもらっている。


本文


「いや〜、今日もアッチーな!」


 九月上旬。一応、秋に分類される時期である。だが、実質的には、まだ夏だ。そんな中、大学の講義が再開されたのだから堪ったものではない。もうすぐ家に着くが、服は汗でビショビショだ。


「ただいまぁ!」


 誰の返事も返ってこない。どうやら、親やシノ姉は留守のようだ。


「シャワーでも浴びるか……」


 新しい服とシャンプーを用意して、シャワー室へと行く。


「アレ?」


 そこで異変に気付いた。我が家の風習では、空いている時はシャワー室の洗面所を開けっぱなしにするのだが、戸は閉じられていた。でも、鍵は閉まっておらず、また洗面所の明かりもつけられていなかった。


「まぁ、いっか」


 本来なら注意すべきところなのだろうが、肌にまとわりつく不快なベタベタ感を少しでも早く解消したかった俺はそれを無視した。


「またかぁ……」


 シャワー室の洗面所に入ったら、たまに見る「いつもの光景」が広がっていた。朝に弱いシノ姉は、ギリギリに大学へ向かう準備をすることが多く、たまに洗面所に残骸(衣服)を放置して、大学へ向かうことがあるのだ。


「はぁ〜。クール系だけど、ダラシがないのは……」


 まぁ、いつものことだ。彼女のだらしなさは今に始まったことではない。

 そんなことよりも、とっとと浴びてしまおう。


「って?!」


 シャワー室の戸を開けると、そこには気持ち良さそうにシャワーを浴びる従姉妹の姿があった。本来なら謝って、即、戸を閉めるべきなのだが、それをする冷静さは俺にはなかった。彼女の肉付きが良い体はアダルトビデオで見るのなら、眼福ものだろう。だが、生で、それも身内のものだ。そんな気持ちよりも、気まずさや、気恥ずかしさが勝った。


「おや?」


 シノ姉もこちらに気付いて、綺麗な目をこちらに向ける。シャワーを浴びているせいか、いつもは感じない色っぽさや神々しさがそこにはあった。


「えっと?」


 こちらがタジタジしていると、シノ姉はからかうようように微笑んだ。


「私が入っているにもかかわらず、待ちきれずに入ってくるとは、ケン坊もせっかちだなぁ〜。なんだったら、このまま一緒に浴びるかい?」

「なっ、なっ」


 俺が地上に引き上げられた魚のように、口をパクパクさせると、シノ姉は先ほどのからかうような笑みとは異なる種の笑みを向け……。


「冗談だよ! 悪いけど、まだ浴びていたいから、もう少しだけ待ってくれ」


 そういうと、シノ姉は優しくシャワー室の扉を閉めた。そんな彼女とは違い、俺はしばらくシャワー室の前で立ち尽くしてしまった……。


つづく?

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