第7話

「死んでどうしたいの?」



その子はあたしの遺書を見付けると、勝手に封筒から便箋を取り出して中身を読み出した。



「……何も」



この子の事は良く知ってた。いつも教室でカチカチ携帯を熱心にいじってて、いつも友達とゲラゲラ楽しそうに笑ってる。



あたしは一度も話した事がなかったこの子が嫌いだった。楽しそうなこの子に憧れて、嫉妬して、嫌いになった。



「“生きる意味が分かりません”……ねぇ」



あたしは身投げしようとしてるっていうのに、その子は自分の自転車のサドルの上であたしの遺書を紙飛行機型に折ると、それを川の中に投げてしまった。



ユラユラ、クルクル。



白い紙飛行機が川に吸い込まれていった。

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