第5話 悪夢と過去の記憶

「......ん...こ、ここはどこだ?俺は確か殺されたはず...」


体中が痛いが、何とか立ち上がり、周りを見回すと、廃村のような場所にいた。


「ここって...もしかして......」


少しずつ思い出していく。あの時見た悪夢の事を...


「ここは、本当にどこなんだ?なぜあの時見た夢と同じ場所にいるんだ?」


あの強盗は俺を殺した訳じゃなく、気絶させてここまで運んできた。きっとそういうことだろう。それをする意味は分からないが...


「とにかく、早く知ってる場所まで行かないと。ここは僕の住んでいる街からどのくらい離れているんだ?」


正解の分からぬまま歩いていく。スマホはポケットには無かった。きっと取られたのだろう。しばらく歩き続けていると...


「よぉ。随分と起き上がるのがはやいな」


あの時の強盗。いや、それだけじゃない。こいつはきっと、記憶のない過去に何らかの関わりがあったのだろう。


ここに辿り着くまでに歩いていた時、ずっと引っかかっていた。なぜ夢と全く同じ場所にいて、なぜあの夢では、廃村の構造が分かっていたのだろう。その時、頭の中に浮かんできたのは、記憶の無い過去。正直小学生でこんな場所に来たことがあるとは思えないが、病気でもなんでもないのに記憶が無くなってしまうのは、きっと強いショックがあったからだと思う。

目の前のこいつを見ると、とてつもない恐怖と震えが襲ってくる。あぁ、きっとそうだ。僕の記憶が消えたのは、こいつのせいだ。こいつのせいで...

僕の記憶は...俺の記憶は......









「ねぇ...こんなとこ来て大丈夫なの...?」

「うん!絶対大丈夫!それに、こんな自然を探索するのって、楽しいじゃん!あ、見て!川だ!」

「あ、ちょっと待ってよ〜」


山まで遊びに来た子供二人。


「すごーい!川ってめっちゃ綺麗だね!」

「う、うん!確かにとても綺麗!」


川を見つけはしゃぐ子供二人。


「ねえ!せっかくだしこの川で水遊びしよう!」

「この川、流れ速そうだけど大丈夫?」

「大丈夫だって!心配しすぎ!」

「そ、そうかな...」


川で遊ぼうとする子供。

少し心配している子供。


「やっぱ水遊びは楽しいね!冷たくて気持ちい!」

「うん!もっと遊びたい!」

「そうだ、みて!俺クロールできるんだ!ほら!」

「ね、ねぇ!そっちは危ないと思う...よ......」

「......あ...!」


はしゃぎすぎた子供は、流れの急な場所まで来てしまい、抵抗できずに流されてしまった。






「......て.....きて」

「......ん...」

「起きて!!」

「うわ!びっくりした〜」

「びっくりした〜じゃないよ!私たち、よく分からない場所まで流されちゃったんだよ!」

「え...嘘!?」

「本当だよ!」


流されてしまった子供二人は、目が覚めると見知らぬ場所にいました。

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