ps そう言えば

 私の血は呪われている。

 母の先祖が蛇を殺して呪われているから。

 7代で死に絶える呪いだ。

 そろそろらしい 。

 母が拝み屋に行っていた理由のひとつとの事だ。


 突然初対面の人に言われたことがある。


「蛇が憑いてるよ」


 と。

 だから私はこう返した。


「知ってる」


 と。

 呪われている事と霊感がない事は矛盾しない。


 母の実家は唯一の男児だった長男、私からしたらおじさんは従兄弟が小さい頃に亡くなっているし、女児でも嫁に行った先で、家の母を含めて、全員旦那さんが先に鬼籍入りしている。2人目の旦那さんさえ先に亡くなったおばさんもいる。

 私はどのおじさんも顔を覚えていない。それくらい、おばさん方がまだ若い頃のことだ。

 ただ、一番上のおばさんと母は、歳が10は離れているから、若いとまでは言えないかもしれないが。

 私の代でも子供が出来なかったり、離婚したり、結婚していないと引っかかってる人も多く、一族の人数は減っている。

 父の血筋については前回書いた通りで、父の血筋も、母の血筋も、私で絶える事になる。


 母から


「あんたがいないとお母さんが困るんだよ!」


 や、


「なんで素直にハイって言えないの!」


 と、怒鳴られて、もし結婚したら、私の、結婚したいと思う程好きになった人が、この母にどんな目に合わされるかと思ったら、子供ができたとしたらその子も、と思ったら、無理だった。

 母は父とは違い、婿養子が当たり前と思っていたし、同居も当たり前と思っていたから、私と同じような目に合うかもしれないではないか。無理だ。

 だから、絶対、結婚はしないと決めていた。

 後日の検査で分かった事だが、私の身体は妊娠し辛いらしいので、結婚したとしても子供は出来なかったかもしれない。

 ストレスはひとつ無くなったら、新しく別の所から生えてきて、無くなるって事が無い。

 ならはじめから諦めておいた方がいいと言うのが私の持論だ。

 どのみち血が絶える、と言う事だ。

 ますます結婚しなくて良かった。


 私は、私の好きな人達には幸せになってもらいたい。

 蛇は大きな番の蛇で、先祖のおっちゃんは片方を死なせてしまった。

 どちらだったか忘れてしまったが、この様子だと恐らくオスだったのでは? と思う。

 幸い、私は爬虫類好きなのでなんの問題もない。

 ただ本当に呪いならば、蛇達が安らかになれる事を祈るだけである。

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