第3話 人間の役割

 そう考えていくと人間の役割というのも明確になってくる。すなわち、地球上における人間の役割とは、他の生命にはできない物質を地球上に運搬することにある。例えば、石油を掘り出して燃やす。経済的であったり、合理的であるという以前に、他の生き物がうまく利用できず、地中の奥底に埋まっていた石油を掘り出して燃やすだけで、石油は大気中の二酸化炭素へと転換され植物が利用できる物質になる。これが人間の役割である。仮に人間が石油を燃やしすぎて、人類自ら多すぎる二酸化炭素で死んでしまい、地球上の多くの動物が死に絶えたとしても、地球としてはこれを気にしない。なぜなら、その二酸化炭素を植物は十全に利用して植物が栄えるからだ。またそこで生き残った動物がまた栄えに栄えた植物を食べて栄えるようになり、そしてしばらくするとまた人間のようなものが生まれてくるだろう。地球としては一向に構わないといえる。このことから、人間の役割とは、他の生命にはできない物質の利用を行うという点にある。

 では、先ほどの石油を燃やしすぎて死滅した人類の例のように、人間が好き勝手に生きて良いのかどうか検討する向きもあり、現代人は再生可能性や持続可能性を気にしている。しかし、地球上においては、石油を燃やしまくって自ら滅びたとしても、それは問題ない、という点が重要である。知性が十分に足りなければ滅びるのは必然である。それが地球であり、天の差配である。実際のところ、石油を中心としたプラスチック資源の処理を他の微生物や動植物が獲得するのが早いか、人間がそれを十全に再利用できるようになるのが早いかは難しいところでもある。

 ここで確認しておきたいことは、生命の役目は物質を運搬することであり、人には他の生き物にできない水準での地球上、あるいは宇宙の物質運搬が求められているという点である。


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