6.規格外
朝、久しぶりに熟睡できて、凄く気持ちよかった!禁書は一冊見つかったし、頼もしい仲間がいる!
不安な気持ちはなくなり、穏やかな気持ちで、皆に挨拶しようと簡易的な寝床から起き上がる……。
全員、地に伏していた。
「リュカ?アスタロト?……クロウさん?リオさん?」
一体、なぜこんなとこに?
悲鳴を出さないように口を押さえる。
私以外の全員は、規格外のチート冒険者達だ。それが一晩で見張りも、周りも、私にも気づかれないことがあるのか?
クロウさん並みのスピードならあり得るだろうが……あんな速さモンスターには知らない。
物音も聞こえない状態で、4人も殺せるわけがない。
ありえないことだが、実際起きている。
「つ!?」
足元に妙な感触が走り、自動防御が反応して反射する。
それは冷たく光っていた。
表面は滑らかだが、先端の先は銀のような突起がついてる。ゆっくり開閉して、獲物を捉えるような牙を連想した。
それは触手だ。
歯車が回る音が低く唸り、触手が動くたびに微かな電流音が走った。
こいつが、殺したの?
ごくりと唾を飲む。
触手は、蛇の舌のように鋭く動く。その向かう先を見ると、見たこともない金属や歯車で出来た人を催したモノが立っていた。
頭部は電球で、両手は先ほどの蛇のような触手。足は金属の刃が付いた車輪のような物が付いていた。
この生物は全て部品、パーツ、つまり、機械だ。
古い書物で自動で動く絡繰人形を見たことがあるが、それに近い存在なのだろう。だが、まったく別物だ。
見た目以外、人間と変わらない。
機械だから誰も気配を感知出来なかったのだろう。
その機械人形は、器用に自分の胸部を開き、中から本を2冊取り出した。
「まさか……」
電球の頭部には、口も、目もない。
だが、笑っているように見えた。
こんな、4人の規格外チート冒険者を倒せる……見たこともない機械人形を私1人で倒さないといけないの?
また、笑った気がした。
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