第49話 感覚の無限
感覚の深奥を抜けた彼女の中には、これまでの旅で得たすべての感覚が一つの流れとなり、無限に広がる力を感じていた。それは過去の記憶や体験を超え、未来へと続く感覚の無限の道だった。彼女はその流れの中に身を委ね、新たな世界へと歩みを進めていた。
その日、彼女がたどり着いたのは、果てしなく広がる砂漠だった。砂漠の砂は太陽に照らされ、金色に輝いている。空には雲ひとつなく、太陽の光がまるで大地を抱きしめるように降り注いでいた。その景色は、彼女の中に広がる感覚の無限と重なり合うように感じられた。
「この場所が、私の感覚の無限を象徴している…」
彼女は砂漠の真ん中へと歩き出した。足元の砂が沈み込む感触、風が砂を巻き上げる音、太陽の温もり——それらすべてが彼女の内なる感覚と呼応し、新たな広がりをもたらしていた。
やがて彼女は砂漠の中心にある小さなオアシスを見つけた。そこには一本のヤシの木が立ち、透明な水が湧き出していた。彼女はそのオアシスのそばに座り、静かに水に触れた。その瞬間、彼女の中に湧き上がる感覚が、これまでとは違う形で流れ始めた。
「感覚は、どこまでも広がり続ける…」
彼女は目を閉じ、内なる感覚の無限の流れに意識を集中させた。その流れは、過去の記憶や経験、そして未来の可能性がすべて繋がり合い、一つの壮大な宇宙を生み出しているように感じられた。外界と内界の境界が溶け合い、彼女は無限そのものになった。
砂漠の風が吹き抜け、彼女の髪を揺らした。その風が、まるで彼女に「次へ進め」と語りかけているようだった。彼女はその言葉に従い、オアシスを後にした。
「私は、この無限の感覚の中で生きていく。」
その言葉を胸に、彼女は砂漠を歩き出した。果てしない砂漠がどこへ続いているのか、彼女にはわからなかった。しかし、感覚の無限を手にした彼女には、すべてが可能であり、すべてが繋がっていることを確信していた。
太陽が沈み、砂漠が黄金から深い青へと変わる中、彼女の足取りは力強く、そして軽やかだった。感覚の無限を抱きしめながら、彼女は新たな旅の扉を開き続けていた。その道の先に、さらなる未知の感覚が待っていることを信じて。
誰も知らない私の感覚 〜真の快楽〜 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92
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