第13話 二つの衝撃!!金槌リコルドVSソル!

 明瀬からかけられた言葉に、薫は変な汗が止まらなくなってきた。

 一体何者か?それはもう、普通の13歳の女の子です、としか言えない。

 まあ、妖精を連れていて、変身できて、怪物と戦えるのが 普通か?と聞かれれば……まあ、普通とは程遠いだろう。


 「えぇっと……そうだなぁ…」


 返答に悩むが、妖精の事をそうペラペラと話すわけにもいかないだろう。

 なので、答えられる事だけを答える事にした。


 「わ、私は普通の人だよ?えっと…始業式の日でしょ…それって……あっ、水を撃ってくるリコルドと戦った時か…!け、怪我とかしなかった!?」


 「え、大丈夫よ、物陰から見てただけだったし…って、あんな姿を変えて戦える人が普通な人なわけないでしょ!」


 「あう……そうかな……まぁ、そうかも……」


 明瀬の勢いに押されて、確かにそうだなぁと自覚してしまった。

 しかしどんなに押されても、妖精の事を話すつもりは、薫には無かった。


 「と、とりあえず……あんまり話せることは無いかな…ただ、ああいう怪物に出会ったら、すぐに逃げた方がいいと思うな」


 「いや、まあすぐ逃げるのはそうなんだけど……一応この町怪物が出た時の避難マニュアルとかあるし…」


 「え、何それ!?」


 初耳でしかも衝撃的な内容に、薫は身を乗り出して驚く。

 思わず手に持っていたお弁当を落としそうにもなった。

 危ない危ないと、ホッとしてから、もう一度その避難マニュアルについて聞いた。


 「そ、その怪物避難マニュアルって…」


 「引っ越してきた時に貰わなかった?もしかしたら親御さんが持ってるかもね」


 「いや、持ってる持ってないじゃなくて、何でそんな物があるのかなって」


 「あーそれは…なんか昔に怪物が出てきた事があったらしくて、十年以上住んでいる人は大体体に避難マニュアルが染みついているって聞いたわ」


 「へ、へぇ……」


 (そんな怪物が定期的に現れる町なの?ここ)


 思わぬこの町の歴史に震えた薫。家に帰ったら、親に聞いてみるか…と心に決めた。

 そしてかつて怪物が現れた事があるこの町に、再び現れた怪物”リコルド”。薫は前にイブニングが言っていたという、ドーン帝国の皇帝が言った、神尾町に行けと指示したという話を思い出す。

 考えてみれば、妖精たちも何故この町に逃げて来たのだろうか。怪物が現れた事があると聞くと、まるで偶然とは思えなかった。

 しかし今の薫には、これ等の事を繋げて考え何かしらの結論に導けるほどの、情報はなかった。


 「とにかく、天土さんは別に不思議な人って事じゃないのよね」


 「うぅん…まあ、そうだね…不思議な人かも…変身するし……」


 最後のお弁当のおかずを口に入れて、しょんぼりとする。

 まあ、全くもってその通りなので、どう取り繕おうとも薫は不思議な人なのだ。

 さて、昼ごはんも食べ終わり、他に話す事が無ければ教室に戻るところなのだが……。


 まだ明瀬は聞きたい事がありそうだった。

 ジッと、薫を見つめていた。手に持っている箸が手に力が入っていたからか、真っ二つに折れている。

 ……折れてる!?

 薫は二度見した。何度見ても、箸は真ん中から強い力を加えられた事によって折れていた。


 「えー、えっと…その……ま、まだ何か……?」


 恐る恐る聞いてみる。

 明瀬は、何か迷っているような表情をしている。

 もしかして妖精たちの事だろうか。何せ戦っている所を見たという事、変身した所を見ていたという事、これらを全て見ていたならラパンやミランと話している場面も見ていただろうし、あの飛んで話す動物たちは気になるだろうな…と薫は思った。

 勿論、今は喋るつもりはなかった。


 「はぁ…いや、何でもない…うん、何でもないわ。ごめんなさい、言い辛い事聞いちゃって」


 「いやそんな事…!あ、で、でも私が言った事とか見た事は秘密にしてくれると…」


 「ええ、大丈夫!誰かに話して、言いふらすつもりはないから!だからこそ、人気の少ない場所で話を聞いたわけだし」


 「あ、ありがとう……!」


 明瀬もお弁当は食べ終わっており、一緒に教室へ戻る事となった。

 戻っている途中で、そういえば妖精たちを制服の内側に入れていた事を思い出す。

 何やらワタワタと動いている様だったが、薫はくすぐりが全く効かないタイプの人だったので、なんか慌ただしく動いているな…くらいにしか思わなかった。


 「どうかしたの……」


 隣を歩く明瀬に聞こえない程度の大きさの声で、ラパンたちに声をかける。

 ラパンが制服の隙間から少しだけ顔を出して返答をする。その表情は何やら緊急の様だった。


 「さっきからずっと、”星の輝き”が光っているんだラパ、た、多分今近くにいる人間が、ミランのバディになれる人ラパ…!」


 「っ!」


 ラパン話に思わず声が出てしまった薫。

 明瀬はその声に、不思議そうな顔をして「どうしたの?」と話しかけてきた。

 薫も、貴方が私と同じ変身できる才能があるらしいって分かったんですよとは答えられないため、「な、何でもないよ?」とぎこちないながらも返した。


 「体調悪くなったら、気にせず言ってね?まだこっちに引っ越してきてすぐだろうし……その色々大変そうだしね?」


 さわやかな笑顔で体調を心配された薫は、やはりぎこちない笑顔で頷くしかなかった。


 赤の他人である自分の事を、あれだけ気遣ってくれる彼女を自分たちの戦いに誘うなんて……と薫はますます明瀬をアンジェストロに勧誘しづらくなったと感じるようになってしまった。

 しかし考えてみれば、始業式の日に戦っている所を見てしまった明瀬の話から、あの日”星の輝き”を光らせた人物が明瀬であると分かったはずなのに、何で自分は気づかなかったのかと、薫は自分の察しの悪さに辟易した。


 現在薫は、放課後の掃除をしている。担当しているのは昇降口だ。

 靴を上履きへ履き替える場所は、外からの風もあり葉っぱなどが入ってくる。それらに足を滑らせない様に掃き掃除をするのだ。

 とはいえ、薫の心は掃除どころではなかったが。


 「はぁ…どーしよ……ミランのためなら……って思って探すの手伝ってたけどさ…はぁ…」


 (明瀬さん……すっごく良い人なんだもんなぁ……私が苦手に思ってたところも、アンジェストロの戦いを見たから、私との接し方に悩んでただけっぽいし……多分だけど…)


 きっとクラスメイトだから、戦いの事も相談しやすいよね…と考えがよぎるも、それじゃアンジェストロとプライベートが混ざり合ってしまうと、嫌な気持ちから少し顔が歪む。

 服の裏に相変わらず隠している妖精たちも、色々と考えているようだが、結局はミラン誘うかどうかとなってしまうから、薫はもっと考えて欲しいと説得している。

 薫は助けを求めていたラパンの目で、アンジェストロになる覚悟を決めたが、誰でもできる事ではないとも、自覚はある。

 心配をかけてしまうだろうから、親にも話していない。誰にも相談だってできていない。

 妖精は妖精の価値観で話すから、時折嚙み合わないな…なんて思う事だってある。

 だからきっと同じ人間の仲間ができるだけで、全く状況が変わるだろうとわかってもいる。

 わかっているが、それ以上に戦うという非日常に誘うと言うのが嫌なのだ。


 「ミランは……やっぱり…戦いたいミラ…。ミランには特別な力は無いから…一人で戦う事なんてできないミラ……誰かを巻き込む事…ラパンの事もあったから、怖いってわかってるミラ、後悔もうするかもしれないミラ。でも…それでも、何もできずに妖精界を滅ぼされた、あの日の後悔を忘れる事なんてできないミラ…」


 服の内側から、小さな声でミランが話した。

 それは辺りに聞こえないように薫の事を慮った音量だったが、彼の本心から出た言葉だと……薫は感じた。


 (それでも、私から明瀬さんをアンジェストロに誘うなんてできない……ごめんね…)


 ミランに心の中で謝り、もうこの件はミランに任せるしかないかと、諦めたような心持ちでこれを結論とする事にした。

 その事をミランに伝えると、「わかったミラ」と短く返ってきた。


 何とも言えない気持ちで、昇降口の掃除を終えた薫は、掃除道具をロッカーへしまい、教室に戻ろうとした。

 その時背丈の高い男が、昇降口から中へ入ってきた。

 用務員さんかと思い、挨拶をしようと振り向くと、その人物は薫の見覚えのある人物だった。

 黒いボディスーツに白いジーンズ。

 そう、イブニングである。

 驚いた薫は、距離を取った。


 「な、なんで!?」


 「そりゃあ、前もここにお前がいたからに決まってんだろぅ」


 「それもそっか…!?」


 このままでは、毎日イブニングが来てリコルドと戦う事になってしまう。

 薫は焦るが、それどころでは無かった。


 「今日こそてめぇをぶっ殺す…!リコルド・クレシオン!!」


 あっという間に、リカルドを生み出されてしまう。

 今日のリコルドは、手に光る金槌のような物を持っていた。

 ラパンとミランを制服の下から取り出し、薫はミランと顔を見合わせた。


 「私たちはこれから戦う。……明瀬さんとバディになるなら…時間稼ぐから、"星の輝き"の事とか、ミランに任せた!」


 「み、ミラ…!わかったミラ…!」


 ミランはバタバタとその場を飛び去った。

 イブニングはその姿を見て、「あぁ?なんだぁ?」と言ったものの、目の前の薫の方を優先した。


 「さあ、変身しなぁ!アンジェストロにぃ!」


 「ぐっ…監視カメラに映ってませんように…!コンドラット・アンジェストロ!!」


 薫とラパンが、腕輪に触れながら変身の呪文を唱える。

 瞬きする間に、輝く虹色の光から白銀の髪を持つ一対の羽根の使徒が降臨した。


 「雄大なる大地の使徒!!ソル・アンジェ!!」


 「いいぜぇ…今回のは前みたいに小細工はできねぇ、純粋な暴力だぁ…!いけ、リコルドぉ!!」


 「ペッカァァアア!!」


 「ま、また喋るリコルドだ!ソル・スクード!!」


 奇声を上げながら突進してくるリコルドに対して、ソルは盾を張り迎え撃つ事にした。

 そしてやはり手に持っている光る金槌の様な者が武器だったようで、それを振り上げソルの盾を目掛けて振り下ろした。


 (これなら、今まで通り…!)


 跳ね返して、浄化で終わりだな。と思ったソルの判断が間違えていたと気づくのは数秒後である。

 叫ぶリコルドの金槌は盾には当たらずその手前の空気を叩き、その衝撃波がソルを襲った。

 何が起こったのか理解できないまま、張っていた盾は霧散し、自身は大きく吹き飛ばされ校舎内の壁に叩きつけられ、肺の中の空気を吐き出した。

 ぶつけられた壁には大きなクレーターができ、衝撃波が走った場所は完膚なきまでに壊されており、下駄箱は弧を描く様に曲がってしまっていた。


 (い、一体何が…?!何が起きたの…?)

 《カオルッ!?大丈夫ラパ!?》


 「ひゅ~すっげえぜぇ!純粋な力…圧力!強いに決まってんぜー!!」


 この光景を見てイブニングは大いに喜んだ。自分が思っていた以上の成果に興奮が抑えきれなかったのだ。

 腹を抱えて笑う彼を気にする事なく、リコルドは荒い息を立てながら、金槌を振り回している。

 ソルは壁から床に落ち、息切れをしながらも、頑張って息を吸って吐いて頭に酸素を回す。

 自分の状況を急いで把握しようとする。


 がしかし、ここで普段とは違う事態が起きてしまった。

 一度目の攻撃の衝撃で校舎中が揺れ、大きな音も響き渡った事で、何人かの生徒や先生が昇降口を見に来てしまったのだ。


 「何の音~」

 「なんだ?どうした?」


 決して多くはないが、数人の人が近づいて来ていた。

 さらに視界に人が入ったからか、リコルドは興奮し再び大声を上げ、金槌を地面に向かって振り下ろした。

 先程と同じように大きな衝撃が周囲に広がる。窓が割れ、壁にひびが入る。


 「こ、ここは危ないので、早く逃げてください!」


 ソルは翼を使って、人が来ている方を背にして守る体勢を取り、近くにいた教師にそう伝えた。

 教師もその言葉を理解し頷き、急いで周囲の人たちに「怪物が出たぞ!マニュアルに沿って、避難するんだ!」と声をかけ瞬く間に戦いの場から、ソルとリコルド、イブニング以外の人たちはいなくなった。

 ソルが思っていたより、避難マニュアルというのは人々の身に沁み込んでいるようだ。


 これで、まだ安全かな…と思いながらも相手の攻撃の防ぎ方も、止め方も分からない今、自体が好転したとは言えなかった。


 「ほぅ、あえて人払いの結界を使わなかったがぁ……案外人間どもは逃げる時は統率が取れているんだなぁ…中々厄介な性質を持ってんだなぁ」


 イブニングは顎に手を当て、感心したように逃げていく人を見て呟いた。

 ソルとしてはここの町の人が特殊なんだけど…と言いたくなったが、別に言うべきでもないので黙っておく事にした。


 「はぁ、次こそ止めるぞ…!」


 「ペッカァァ……アァアア!!」


 「まあ、精々頑張りなぁ!」


 リコルドは再びソルに向かって飛び込んできた。金槌による攻撃が来る。

 次は盾ではなく、いなす事を試してみることにした。


 「ソル・メランツァーナ!!」


 振り下ろされた金槌はまたも空気中を叩く。衝撃波はソルの身体をそのまま吹き飛ばす。

 メランツァーナは全く攻撃をいなす事が出来ず、薄い膜は盾と同じように吹き飛ばされて霧散していった。


 「あぁ!」


 今度は校舎の太い柱にぶつかってしまう。

 ボトリと重い音をたてて、床に落ちる。


 (だ、ダメだ…全く持って私の防御が意味をなさない…!体中が痛い……頭が周らない……でも……相手の攻撃はわかった……!あのハンマー見たいのを振ると起きる衝撃波…ソニックブームだ!!床に振った時、床だけじゃなく窓や壁にヒビが入っていたし……きっと正解だと思う……。そっか、物理的な攻撃じゃないからソル・スクードで守れず、波による面の攻撃だったから、ソル・メランツァーナでいなせなかったんだ……じゃあどうする…?私にどうにかできる相手なの…?)


 ようやく相手の攻撃の正体に対して、仮説をたてられたソルだったが、それより先に自分の身体が限界を迎えようとしていた。

 それでも立ち上がり、どうにか浄化できないかを探る。衝撃波を防ぎながら相手を少しでも行動不能にする策を探す。


 《カオル…!無理はしないでラパ…》

 「もちろん!でも、私がやるよ…。できるか分からなくたって、やってやる!」




 一方、生徒や教師たちがいる避難所から一人の少女が飛び出していた。

 その少女の名は明瀬葵。薫が不思議な力で変身し戦う人だと偶然知ってしまった人物。

 彼女は今、薫の元へ走っていた。

 自分に何ができるのかはわからないが、とにかく走っている。


 「確か、本校舎の昇降口って言ってたわねっ……」


 先ほどどこで怪物が出たのかを聞き、そちらに向けて走っていた。

 着いた時に怪物に投げる用の石や枝も拾った。これが役に立つのかはわからない。だが無いよりマシだろうと思った。

 ただそれだけだった。

 もう少しで着く、その時大きな揺れが明瀬を襲った。横に広がるようなこの揺れは、教室で掃除を担当していた自分が避難前に感じた揺れと同じものだと気づいた。

 目を凝らすと、もの凄い勢いで吹き飛ばされる、ソルの姿が目に入った。


 「っ!天土さん…!」


 急いで行こうと、すぐに走ろうとそう思っていたハズなのに、何故か足が動かない。

 どうして!?と自分の足に目をやると、そこには細かく震えている自分の足があった。


 「まさか…怖がっているの……?あたしが……?」


 明瀬は自他ともに認める、怖いものなしだ。かつてダンプに下敷きにされそうになった友人を助けた事すらあるくらいには度胸と勇気がある。

 しかし目の前に怪物に嬲られているクラスメイトを助けるべく動くことは、本能が止めていた。

 これは今までの危険とは訳が違うと、そう脳が、体が、全力で叫んでいるのだ。


 「でも、こんなところで引き返したんじゃ……明瀬の名折れ…!動いて!動いてよ!あたし!!天土さんが…このままじゃ…天土さんがぁ…!」


 彼女がどれだけの力があるのか、どれだけ頑丈なのかはわかるはずもない。でも、絶対に誰かを待っているはずなのだ、自分を助けてくれる人を。

 だから明瀬葵がその人になろうと、そう言っているのだ。


 「お願い…お願いだから、行かせて…あたしをあそこに……天土さんを助けるために……誰か……」


 「はぁっ…はぁっ……キミもそう思うミラ?」


 「えっ…」


 急に頭の上から声が聞こえたから、顔を上げる。

 明瀬の前には、青い羽根を持ち腹部に逆三角形の宝石を付けた、奇妙な鳥が飛んでいた。

 そしてその鳥が足で持っている石がもの凄い強さで輝きを放っており、明瀬には一体何が起きているのか、理解が出来なかった。


 「貴方も、彼女たちを助けたいミラ?」


 「貴方も…って、鳥さんも助けたいって思っているの?」


 「もちろんミラ。あの子は、この世界に来たばかりの頃にミランを助けてくれたとっても心優しい人なんだミラ」


 「心優しい……そうね、あたしまだ出会って短いけど、わかる気がするわ」


 「この石は”星の輝き”というミラ。これは妖精が持つ事で、その妖精のパートナーになれる人物に近づくと強く輝くミラ」


 「それってつまり…あたしと鳥さんがパートナーになれるって事?」


 「その通りミラ。でもそれは、貴方を無関係だった戦いに巻き込んで…」


 「ええ、戦うわよ」


 「えぇ!?そ、そんな即決して良いミラ!?」


 明瀬のあまりの思い切りの良さに後悔しないための説明の途中で、驚いてしまった。

 だが明瀬の瞳は燃えていた。決して無謀や蛮勇でもなく、心から戦いたいと思っている瞳だった。


 「…わ、わかったミラ、今腕輪を付けたミラ。これに触れながら一緒に呪文を唱えるミラ。そうする事で、カオルと同じ伝説の使徒、アンジェストロになれるミラ!」


 「任せなさい!…行くわよ…」


 「「コンドラット・アンジェストロ!!」」


 二人は眩い光に包まれた。

 そしてその光は高速で移動し、今まさにリコルドによって止めを刺されかねなかった、ソルの目の前へ動き、リコルドを弾き飛ばした。


 「え!?な、なに…!」

 《これは…まさか…ラパ…》


 そしてその光が弾け飛び、中から青みがかった銀髪の長い三つ編みのおさげをした甲冑のような被り物をしている一対の羽根を持つ一人の少女が、一本の棒と丸い盾を持って現れた。

 そして、翼をひらめかせてポーズをとり、リコルドとイブニングに向かって名乗る。


 「壮大なる大空の使徒!シエル・アンジェ!!」

 《ミラっ!》


 新たなる伝説の使徒の誕生である。

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