テンが来た理由
赤ちゃん天使は、スクスクと大きく育ちました。
あ、もちろんオレもね!
そんなこんなで、テンは二歳になりました。
いつもオレはテンとおもちゃで遊んでいる。
「おにいしゃん、これとってくだしゃい」
「んー、待ってー。今このお城作り上げたくて…」
(いいんですの?)
‼︎
テンは、たまにこうやって天使の力をつかって直接オレの脳内に話しかけて、オレを脅かす。
(テン…脳内に直接話しかけないで!てか、そろそろテンがこっちにやってきた理由教えてよ)
(いいですのよ。でも、先ほどから申しているアレをちょうだいいたしてからのお話ですの)
…
もう、仕方ないなぁ。
オレは座ったまま、テンの前に手を伸ばしおもちゃをとってあげた。
「はい、おもちゃ」
「っ…近いでしゅのっ。」
二歳児のテンが顔を赤く染めていた。
くくく、かわいい。
恋する乙女みたいになってやんの。
「あれぇ?テンちゃんおねちゅですかぁ?」
オレは照れるテンにオデコピタんをしてみた。
「うーん。平熱かぁ」
(兄上様…そんなことしてよいと思っておりますの?お仕置きいたしますのよ?)
(お仕置きってどんな?)
(それは…もちろんキスに決まっておりますのよ‼︎)
って脳内に語りかけられましたが?
え?
むしろ…それはご褒美なんじゃね⁉︎
(キス?)
(ええ、そうですの。)
…待って。
テンって…キスを何だと思っているのだろう…?
罰にするってことは、よくわかってなくね?
もしかして…テンって…ピュアなんじゃね⁈
もしくは、てんねんこだな。
「てーんちゃん、かわいいでしゅね〜」
テンは、あたまナデナデされて脳みそ沸騰寸前みたいになっちゃったよ?
かわいすぎだろうよ…。
てか、テンがあんまりかわいいからテンがここにきた理由…聞きそびれてしまった。
あとで聞こう…ってさ⁉︎
…
え、なんでテンがオレの布団に寝てんの⁈
…
はっ‼︎
ふと、どこからともなく視線を感じた。
…
母さん…
ドアの隙間からそっとオレたちをみて微笑んでいらっしゃる。
「テンちゃんがお兄ちゃんと寝るっていうからそこに寝かせてあげてほしいの」
って小声で言われたよね…。
早く言ってよー…。
まぁ、早く言われたところでね…ってわけで、オレはテンが眠っている横で寝ることにしたんだけど…
めっちゃあったかい〜。
「おにいしゃ〜ん…」
テンが寝ぼけてオレに抱きついてきた。
…
えっ⁉︎良いん⁉︎
ハグとか良いんですか⁉︎
テンは、子どもだけど…脳内は、大人…ってか…テンってそもそも何歳なん⁇
…
わからないけど、とにかくかわいいからいっか!
テンをギュッと抱きしめてオレもあっという間に眠りに落ちた。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
夢の中でオレは過去の父さんと母さんをみた。
飲んだくれていた…。
いやな夢でした…
朝、目を覚ましオレは、ボーっとしていた。
起き上がると、テンが起きちゃうかもだったから。
…
どうして前世では、こんなに飲んだくれているのに…今はまったくの別人に?
そもそもが、オレは前世である年齢までそこそこお金持ちとして、生活させてもらっていた。
でも、とあるときからいきなり貧乏生活が始まったんだ。
父さんと仲良しの、吉乃おじさんと出会ってから…。
吉乃おじさんと父は、現在も交流がある。
でも、今のところなんにも問題ない。
だから、きっとこのまま平穏な人生がオレには待っているのさ!って考えたんだ。
(違いますの)
⁉︎
テン⁉︎
寝ているテンをみると、テンは目をつぶったまま、話を続けた。
(もうすぐ時がきますのです)
(え、それはどういう…)
(どういうわけか、時空が歪みましたの。なのでもうすぐ…あの優しい父母は、以前と同じ状況になるのですの。)
…
(そっか…それって阻止する方法とかってあるの?)
(当たり前ですの。なんのためにわたしが舞い降りたと?)
(あ、そういうこと。で、オレは何すればいい?)
(阻止すれば良いのですの。)
(なにから?)
…
(あの、吉乃おじさんです。)
…吉乃おじさんか。
でも、吉乃おじさんとうちの両親がどんな繋がりになったら、両親が飲んだくれるん?
(テンは、どこまで知ってるの?)
(わたしは…両親が保証人になるまでなら知っておりますの。でもそれから先は…)
…
なるほどなー。
そういうことか。
きっと保証人になったあと、吉乃おじさんが行方をくらましたと…。
…どうやって保証人を拒否してもらうかが大事だよなぁ。
ただたんに保証人にならない方がいいって伝えても、大丈夫だよ。吉乃さんはそんなことしないって言われて終わりだよなー…。
オレから直接いう?
いや、子どもからそんなこと言われてもスルーされて終わりだよね。
(テン、教えてくれてありがとう。)
(いいですの。あと、昨日きちんというつもりが、どうやら能力は大人なんですが、体力的には、子どものようで…つい寝てしまい…)
(うん、大丈夫だよ。ありがとね。)
テンの頭をナデナデするとテンは、恥ずかしそうに
(わたくしは、見た目は子どもですが頭脳は…大人なんですのよ!頭ナデナデとか…)
「おやめくださいな‼︎」
っていきなり脳内会話から直接会話へと早変わりしたのでございました。
「ごめんて」
…
バタバタと母さんが階段をのぼってきて、オレの部屋へと一目散に入ってきた。
「ケンカしないの」
ってね。
ケンカ…なのかな?
それはどうかわからないけど、どうやら吉乃おじさんが要注意だということは、確実にわかったのでありました。
続く。
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