第30話 妊娠確定!?銀髪JKの憂鬱…

朝の光が差し込む宇佐美家のリビング。テーブルの上には瑠美が淹れた紅茶が並び、ララがニヤニヤとミロクを見つめている。ミロクは頬を赤らめながら、必死にララの言葉を遮ろうとしていた。


ララ:

「よーし、決まり!今日は産婦人科で母乳の謎を解明しよう!ミロクちゃん、案外“食べすぎです”とか言われちゃうんじゃない?」


ミロク:

(真っ赤になりながら)

「やめい!!これ以上話を広げるでない!!」


瑠美はくすくすと笑いながら紅茶を一口。ララのいたずら心に火がついたようで、ますます勢いが止まらない。


ララ:

「でもさ、母乳ってやっぱり女性の象徴みたいなものじゃん。もしかして、ミロクちゃんって本当に女性に生まれ変わったとか?」


ミロク:

(さらに顔を赤くして)

「そ、そなた!これ以上わらわをからかうでない!何もかもが謎なのじゃ!」


瑠美:

(穏やかな声で)

「まぁ、何か特別な理由があるのかもしれないわね。でも一度きちんと見てもらった方がいいわよ。」


ミロクはため息をつきながら、瑠美の紅茶を見つめた。ここまで来たら、もう逃げ場はない。


瑠美の運転で産婦人科へ


瑠美の提案で、三人は車で近くの産婦人科へ向かうことに。車内ではララの悪ノリが止まらない。助手席に座るミロクは、真剣な顔で窓の外を見つめているが、その耳は赤いままだ。


ララ:

「ねぇ、ミロクちゃん。診察のとき、先生に“これが菩薩の身体です”って自慢する?」


ミロク:

(目を剥いて)

「し、しない!そんな恥ずかしいこと、わらわがするわけなかろう!」


瑠美:

(運転席から微笑みながら)

「ララ、ミロクちゃんをいじめすぎないの。彼女も緊張してるんだから。」


ララ:

(いたずらっぽく)

「そうかなぁ?ミロクちゃん、結構楽しんでたりして。」


ミロク:

「た、楽しんでなどおらぬ!そなた、次に余計なことを言ったら……」


ミロクが何か言い返そうとしたとき、瑠美の車が静かに駐車場に滑り込んだ。


産婦人科での診察


院内に入ると、清潔感のある静かな空間が広がっていた。受付で名前を告げ、待合室のソファに座る三人。ララが周囲をキョロキョロと見回している間、瑠美は落ち着いた様子で雑誌をパラパラとめくる。


ララ:

(小声で)

「ねぇ、ここに来るの初めてなんだけど、意外と普通なんだね。」


ミロク:

(不安げに)

「当たり前じゃ。何を期待しておったのじゃ?」


そのとき、名前を呼ばれたミロクは、小さく息を吸い込みながら立ち上がった。瑠美とララが見守る中、診察室のドアを開けて入っていく。


診察室での衝撃


静かな診察室の空気を破るかのように、医師の一言が響いた。


医師:

「ええと、検査の結果ですが……驚かれるかもしれませんが、妊娠していますね。」


その言葉に、ミロクは完全に固まった。


ミロク:

「……は?」


呆然とした表情でしばらく動けないミロク。しかし、やがてその言葉の意味を理解すると、声を震わせながら医師を見つめる。


ミロク:

「妊娠……?それはつまり……新しい命が宿っていると……?」


目を丸くして混乱の渦中にいるミロクに、医師は淡々と続けた。


医師:

「ええ、そうですね。ただ初期の段階なので、無理はせずに安静に過ごしてください。」


ミロク:

「……いや、待て、安静とかそういう問題ではない!そもそも、わらわは男なのじゃ!!」


ミロクは叫ぶように言い放つと、混乱のあまり立ち上がり、自分の胸元を押さえる。


ミロク:

「こんなことが……こんなことがあってたまるかぁぁ!!」


ララと瑠美の反応


診察室の外で待っていたララと瑠美は、騒ぎを聞きつけて室内に駆け込んできた。医師の説明を聞いた二人は、それぞれ異なる反応を見せる。


ララ:

(驚愕と困惑が入り混じった表情で)

「えっ……ええええっ!?ミロクちゃん妊娠!?しかも礼子お化けの体で!?」


急に何かを思い出したように、ララはハッと声を上げる。


ララ:

「やっぱりあの母乳事件から怪しいと思ってたんだよ!礼子お化け、恐るべし!」


一方で、瑠美は腕を組み、冷静な表情を保ちながらも、どこか動揺を隠せない。


瑠美:

「まあ……あり得なくはないとは思ってたけど、実際にこうして結果を聞くと、さすがに驚かざるを得ないわね。」


瑠美はため息をつき、医師に向き直る。


瑠美:

「先生、とりあえず妊娠してるってことでいいんですね?」


医師は冷静に頷きながら答えた。


医師:

「そうですね。間違いありません。」


ララは目を輝かせ、突然ミロクに駆け寄る。


ララ:

「すごいよ、ミロクちゃん!命を宿した神秘の体だよ!」


ミロク:

(手をわなわな震わせながら)

「何が神秘じゃ!そなた、これがどれだけおかしい話か分かっておるのか!?」


衝撃的な事実を受け入れられずに、混乱するミロク。さらに、医師はミロクに追い打ちをかける一言を吐くことになる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る