第26話 ミロクの変身:母乳が導く新たな日常

ミロクは、恐怖として自分の身体に起きた変化に戸惑っていた。男であるはずの自分から母乳が出るという現象に、彼の心は揺れていた。その日、彼は親友のララと瑠美を自宅に招き、テーブルを囲んで話し合うことにした。

修正版ストーリー:ララの視点


あの時、何から話していいかわからなかった。ミロクちゃんを見つめながら、胸の奥がザワザワと音を立てていた。目の前にいるのはミロクちゃん。でも、その体は――礼子さんのものだなんて。


「ミロクちゃん、どういうことなの?」思わず口に出した。けど、その声は自分の耳にすら頼りなく聞こえた。


ミロクちゃんは眉をひそめたまま、困った顔で俯いている。「わらわにもわからぬ。ただ、突然胸が湿っていた……それだけじゃ。」


瑠美が静かに茶を啜る音が聞こえた。「礼子さんじゃないかしら?」と、さらりとそう言った。


その瞬間、私の心臓がドクンと鳴った。「牛尾礼子」――頭の中でその名前がぐるぐる回り始めた。美しくて、完璧で、でも、どこか嫌な存在だった礼子さんの姿がありありと思い浮かんだ。


思い出す礼子さんのこと


「ちょっと待って、瑠美。それって……ミロクちゃんの体があの『おっぱいお化け』礼子さんのものだってこと?」私の声が震えていた。どうしてかはわからない。礼子さんへの複雑な感情が胸をチクリと刺してきたのだ。


礼子さんは、確かに魅力的だった。あの整った顔立ち、完璧なスタイル、男たちを引きつける奔放な性格。でも……でもそれだけじゃない。礼子さんは私の大事な男友達にまで手を出したことがあった。


「最悪な人だった」と思わず口をついて出た。その一方で、過去の記憶が私の心に新たな波を立てる。礼子さんには助けられたこともあったのだ。私が一番困っていた時、誰もが私を避ける中、彼女は手を差し伸べてくれた。


ミロクの姿に揺れる心


私はミロクちゃんを見るたびに複雑な気持ちになった。この純粋で真っ直ぐなミロクちゃんの中に、あの礼子さんの体があるなんて。目を閉じると、礼子さんの姿が浮かんできて、どうしようもなく混乱してしまう。


「ねえ、ミロクちゃん。どうしてこうなっちゃったの?」と、私は問いかけた。けれど、ミロクちゃんの顔には困惑が色濃く残っていた。


「そなたたち、わらわをなんだと思っているのじゃ! 礼子という者と、わらわは無関係じゃ!」ミロクちゃんが声を荒げるのを見て、思わず吹き出してしまった。だって、そんなに一生懸命否定する姿が、逆に可笑しくて仕方なかったのだ。


でも、笑っていながらも私の心は軽くならなかった。頭の中ではずっと問いがぐるぐる回っていた。「礼子さんの体なのに、どうしてミロクちゃんのような純粋な子がそこにいるの?」


瑠美の冷静な分析


瑠美はそんな私たちを冷静に見ていた。「ララ、落ち着いて。」彼女の低く静かな声に私は一瞬息を飲んだ。「礼子の体だとしても、それは過去の話。大事なのは中身よ。今のミロクちゃんがどうするか、それだけが重要なんだから。」


その言葉に私は少しだけ心が落ち着いたような気がした。確かに、礼子さんの体であっても、今目の前にいるのはミロクちゃんだ。そんな単純なことを、私はずっと受け入れられずにいたのかもしれない。


ミロクちゃんの決意


ミロクちゃんは少し赤くなりながら、それでもきっぱりと言った。「わらわの体が何者のものであろうとも、わらわの行いが変わることはない。この体でも、菩薩としてふさわしい行いをするだけじゃ。」


その言葉に、私は少し胸が軽くなった気がした。瑠美も微笑んでいた。そして私はつい、「でもさ、ミロクちゃん……礼子さんみたいな『おっぱいお化け』にはならないようにね!」と、冗談を飛ばしてしまった。


ミロクちゃんは怯えた顔で、「それだけはやめい!」と言い返した。その表情に私も瑠美も思わず吹き出してしまう。こんな風に笑い合えることが、少しだけ救いに思えた。


ララの新たな覚悟


礼子さんの体を持ちながら、ミロクちゃんらしくあろうとするその姿を見て、私は少しだけ前を向けるようになった。私たちはミロクちゃんと共に、新しい日常を歩むことになる。それがどんな道であれ、きっと悪いものではないはずだ――そんな予感がした。


そして、もう一度自分に言い聞かせる。礼子さんが何であったとしても、ミロクちゃんはミロクちゃんだ。この事実を、私は少しずつ受け入れていくのだろう。

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