第25話 母乳事件とさやりんの異物混入!?

朝の宇佐美家


宇佐美家の朝はいつも通り――いや、いつもより少し騒がしかった。リビングには朝食の香りが漂い、瑠美、ララ、ミロクの三人がテーブルを囲んでいる。しかし、話題は決して普通ではない。


「それで、病院には行くの?それとも誰かに相談してみる?」

瑠美が真剣な表情でミロクに問いかける。


「それは……わらわには無理じゃ。そんな話を医師にするなど、恥ずかしくて耐えられぬ……」

ミロクは胸を押さえながら、しぶしぶ答える。


「でもさ、ミロクちゃん、それ母乳なんでしょ?原因が分からないのに放っておくのは危険だよ!」

ララがスプーンを手に、身を乗り出しながら訴える。


「だからと言って……!わらわにそのような勇気は……!」


ミロクが困惑の表情を浮かべていると、突然リビングの空気が一変した。


さやりんの登場


「お待たせしました~! さやりん特製のおいしいお茶ですよ~!」


明るい声とともに、宇佐美家のメイドドラゴン、赤城彩華――通称「さやりん」が登場した。湯気の立つ急須をトレイに載せ、満面の笑みを浮かべている。


瑠美がため息をつきながら振り返る。

「ああ、さやりん……また何か妙なことしてないでしょうね?」


「そんなことないですよ! 今日は特別なブレンドティーなんですから!」

さやりんは自信満々の表情で胸を張る。


ララが興味津々な顔で急須を見つめた。

「へえ、さやりんが作ったお茶ってどんな味なの?」


「ふふふ、今日は自分でも最高傑作だと思います!」


「うわ~、さやりんが自信満々の時ってやばいわ💦」ララがそう吐き捨てると…


「ララちゃん、酷いですよ!私だってやる時はやる子なんですよ?」

「いや、なんでそこで疑問形❓」


ララのツッコミも聞かず、さやりんはお茶をだそうとした。


「全部飲み干さなきゃ、プンプンですよ?」


その瞬間、事件は起きた。


ドジっ子炸裂


「きゃっ!」


さやりんが足をもつれさせ、急須が宙を舞った。


「危ない!」


ララが素早い反応で空中の急須をキャッチ。ぎりぎりのところで被害は食い止められたものの、全員が固唾を飲む。


「しっかりしてよ、さやりん!もう!」

ララが呆れた声を上げると、さやりんは申し訳なさそうに頭を下げる。


「ご、ごめんなさい~!でもララちゃん、反射神経すごいですね!さすがAカップ!!軽いから俊敏なんですね!」

「さやりんはDカップだから、あそこまで俊敏にうごけませわ」


「関係ないでしょ、そこ!」


ララの抗議に、瑠美とミロクは思わず吹き出してしまう。


特製お茶の謎


場が落ち着くと、さやりんは湯呑を並べ、誇らしげに言った。

「今日は庭で採れた葉っぱをいろいろブレンドしてみました!ミントとかシソとか、干してた謎のキノコとか!」

さやりんはDカップの乳房をぷるるんとたゆらせてドヤ顔を決めた。


「謎のキノコ!?」


三人の声が見事に揃った。


「大丈夫ですよ!たぶん毒はないと思います!」

さやりんは無邪気に笑うが、全員の表情が一気に険しくなる。


ミロクは恐る恐る湯呑を手に取り、一口飲んで固まった。

「……これは、なんじゃ? 妙に甘くて、青臭い……?」


ララが顔をしかめる。

「待って、それ飲んでも大丈夫なの?」


「まあ、死にはしないと思うわよ。」

瑠美が冷静に答えるが、ミロクは湯呑を置き、深いため息をついた。


「そなた……わらわの体に異変が起きぬうちに、その実験を控えるべきじゃ……」


ドジの極み


さやりんは湯呑を手に取り、再び笑顔で言った。

「でも、正直な感想が聞きたいんです!」


ミロクはしばらく考えた後、ポツリと言った。

「正直に言うなら……不快感はない。だが、これは……笑いがこみ上げてくる味じゃ。」


「笑いってどういうこと!?」


ララが呆れる中、さやりんが再び急須を手に取ろうとすると、手が滑り、お茶がミロクの服に飛び散った。


「あっ、ごめんなさいミロクちゃん!今拭きますね!」


慌てて近づくさやりんを、ミロクは全力で拒否した。

「や、やめぬか!これ以上無礼を働くな!」


ミロクの叫び声に、ララと瑠美は笑いを堪えきれずに爆笑。


笑いで締めくくる朝


結局、母乳事件の真相も解決せぬまま、リビングは笑い声で包まれた。


瑠美は笑いながら、さやりんに言った。

「本当に、さやりんがいると退屈しないわね。」


ミロクは苦笑いを浮かべながら答える。

「否定はせぬが……わらわを実験台にするのは控えよ。」


「えへへ、頑張ります!」

さやりんが明るく答える中、宇佐美家の騒がしい朝は幕を閉じた。


だが、このお茶に含まれていた「謎のキノコ」が後にさらなる騒動を巻き起こすことになるとは――。

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