第4話尊きパシリ菩薩 〜銀髪の菩薩と妹のほっこり時間〜
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ちょうど夕食の支度が終わったころ、玄関から元気な声が響いた。
「ただいま!」
帰ってきたのは、ミロクちゃんと同じ銀髪の小柄な女の子──うちの妹、すず。学校から帰ってきた彼女は目をキラキラさせて、今日も元気いっぱいやな。
「亜依お姉ちゃん、晩ご飯なに?」
「今日は卵かけご飯やで」と答えると、すずは少し驚いた顔で口を開ける。
「他には?」
「ソースとお醤油もあるで」
期待に満ちた顔のすず。でも、私がニコッと微笑んで「今日は卵かけご飯オンリーやで」と言うと、すずはぽかんとしたままもう一度聞き返してきた。
「ほんまに…卵かけご飯だけ…?」
「うん、今日は節約やからな」と冗談交じりに返すと、すずは少し不満そうな顔をしつつも、仕方ないと諦めた表情で「まぁ…仕方ないか」と呟いた。
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「あれ、お姉ちゃん…この人は?」
すずがミロクちゃんに気づくと、銀髪と銀髪が目を合わせて、我が家の騒がしい夜が始まるのだった。
その夜、うちとご主人様、妹のすずが食卓を囲んでいた。今日の夕食は焼き魚に煮物、そしてご主人様特製の味噌汁。いつもの家族団らんだけど、今日は新しい顔がひとり──私が連れてきた不思議な少女、「ミロク様」が加わってるせいやね。
ミロクちゃんは銀髪で、どこか神秘的な雰囲気をまとった子。自分のことを「菩薩」やと名乗る彼女は、世間知らずっぽい無邪気さがなんとも微笑ましい。
案の定、妹のすずは一瞬で心を奪われてしもた。「素敵な私のミロク様!」と呼んで、ミロクちゃんにべったりや。うちの妹は、年の割にしっかりしとるけど甘えん坊なところもあるから、こういう姿を見るとほんま可愛げあるなと思うわ。
「ミロク様、そこのお茶取ってきてくれん?」
すずが甘えた声で頼むと、ミロクちゃんは誇らしげに「菩薩としての務め」やと言ってお茶を取って渡しよる。すずは目をキラキラさせて「ありがとー、ミロク様!」と感激の声を上げる。その顔はまるでアイドルを崇めるファンみたいやね。見てるこっちが微笑ましくなるわ。
ご主人様が小声でクスクス笑いながら「すっかり菩薩のパシリになっちゃってるな」なんて言うもんやから、つい私も笑いを堪えられずに「ほんまにミロクちゃん、すずに甘いなぁ」と返してしもた。ミロクちゃん、気にしてるんかしてへんのか、すずの頼みを次々に聞いとるわ。
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食事が進むにつれ、すずはますます調子に乗って、ミロクちゃんを利用する気満々や。
「ミロク様、この宿題ちょっと教えてくれん?」
すずがノートを広げて頼むと、ミロクちゃんは得意げに「ふむ、菩薩として知恵を授けるべき時が来たようだな」と先生みたいな顔で取りかかっとる。すずも「さすがミロク様!」と感心したふりで褒めちぎる。ミロクちゃんも満足そうで、すっかりその気になっとる。
「それにしても…君たちの言う『宿題』というものには、秘められた深遠な意味があるのだろうか?なんとも興味深い…」
私がツッコむ間もなく、すずは「そうなんよ、ミロク様!宿題って深いよね!」と調子に乗って話を合わせてる。ミロクちゃんも妙に納得したように頷いてるし、ほんまにええかげんにしてほしいわ。
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食事が終わり、すずが「ミロク様、ほんまに素敵!」と嬉しそうに持ち上げてるところに、遅く帰ってきたのはもう一人の妹、黒猫の樹奈。高校一年生の彼女はしっかり者で、すずのことをよう叱る厳しいお姉さんや。樹奈が帰ってきた途端、すずの目が何かを企んでるようにキラリと光った。
「ミロク様!あの樹奈姉ば、やっつけてくれん?」
唐突なお願いに、ミロクちゃんも一瞬驚いたみたいやけど、神妙な顔で「…分かった。我が弟子の願いとあらば、百式観音の力をお見せしよう」と言い出した。
「ちょっと待ち、ミロクちゃん。そんな大げさに構えて、ほんまに何する気なん?」
一体、ミロクちゃんの「百式観音の力」が何をするのか──次の瞬間、家族全員の目が驚きに見開かれる出来事が起こるのであった。
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