【#9】ギガント・シマエナガで爆走!!からの打ち上げ
【渋谷ダンジョン・地下16階】
「ピィ~~、ピィ~~」
「「かわいい~~~♡」」
ギガント・シマエナガ……フワンちゃんにメロメロになった俺達二人。モフモフした身体を両側から抱きしめていた。
:うおぉ~、羨ましい……
:俺もあんなモフモフしてぇよぉ!!
:フワンちゃんにそこ変わってほしいぃ~~~。美少女二人にサンドイッチなんてよ……!!
:↑一人は中身おっさんですけどねぇ…
そんな感じで、新たに仲間になったフワンちゃんを愛でていると……。
「ピィ!!」
「ん?」
フワンちゃんが身を屈めてきた。
その行動を見て、ティーシャが何か察したように呟く。
「もしかして、あたし達に”乗ってほしい”って言ってるんじゃ……」
「!!」
なるほど!! しかし、大丈夫なのか?
「いいの? フワンちゃん?」
「ピィ!!」
こころよく応じてくれるフワンちゃん。そこまで言うなら……。
「それじゃ、ティーシャ!! 一緒に乗りましょーーー!!」
「うん♪ レッツゴー!!」
俺を前に、ティーシャを後ろに乗せたフワンちゃん。その実力は──。
「ピィーーーーーーーーーーーー!!」
「うわわわ!? 速い~~~~~~~~~~~~!?」
ドドドドドドド!! ダンジョン内を爆走するフワンちゃん!! 可愛らしい見た目からは想像もできないスピード!!
:フワンちゃん、速っ!?
:ギガント・シマエナガ……恐るべしやな
:てか、コントロール大丈夫なのか……?
「と、止まってぇ~~~~~~~~~~~!!」
「ピィ!!」
「ぶげぇっ!?」
ブレーキの衝撃で前方に投げ出されて、ズサーっと地を滑る俺。
「大丈夫!? アヤカちゃん!?」
フワンちゃんの上から心配そうに言ってくるティーシャ。俺は親指を立てながら、無事を伝える。
「へ、へーきで~す。思ったよりも”暴れ馬”ですね……この子は」
「ピィ~~?」
倒れた俺をツンツン突いてくるフワンちゃん。この足の速さはダンジョンの移動でもとても便利だろう。……まだ慣れる必要はありそうだが
その後、しばらく俺達は練習がてらフワンちゃんでダンジョン内を駆けまわっていた。
ティーシャも心の底から嬉しそうで……俺も最高の気分だった。こんな間近で推しの笑顔を見れるなんて、これ以上に幸せな事なんてない。
そんな幸せな時間を過ごしていた時、ティーシャがこんな提案をしてきた。
「そうだ!! アヤカちゃん、例のフリールームも見せてよ!! あの配信で見て以来、入ってみたかったんだぁ~~!!」
なるほど。確かにそれは悪くない話だ。
「いいですよ? それじゃ、一度フワンちゃんから降りましょうか?」
「ピィ~~~~~~~!!」
「おっとっと……セーフ!!」
今度はフワンちゃんのブレーキに耐えて、俺はフリールーム召喚の準備にかかった。
◇◆◇◆◇
「
目の前に光の扉が現れて、ティーシャが「わぁ〜!」と歓喜の声を上げる。そんな彼女に対し、俺は少し恥ずかしさをまじえながら言う。
「このフリールーム、"最初のお客さん"がティーシャで良かったです……!! なぜなら自分の推しを部屋に招待できるなんて、何にも変えられない幸せですから!!」
「ちょっとぉ大げさだよ~~♪」
頰に両手を当てて笑うティーシャ。その後、彼女は冗談っぽく向こうを指差して言う。
「それに、それならフワンちゃんも"最初のお客さん"だよね!?」
「ピィ〜♪」
「た、確かに……!? それはそうですね」
2メートル超えの白いモフモフ鳥、ギガント・シマエナガのフワンちゃん。
この巨大モフモフ鳥はすっかり俺達に
「よしっ!」
それから一度フリールーム内へ入った俺は、部屋の中から上半身を出して手招きする。
「どうぞ! これで二人もフリールームへ入れるようになりました!」
「わーい♪」「ピィー♪」
こうして、ティーシャとフワンちゃんもフリールームへと入室させることに成功した!
◇◆◇◆◇
それからフリールーム内にて。
俺は今回の冒険で得た魔力を使って、必要なモノをクラフトしていく事にした。
「まずは……お風呂ーーー!!」
ボン! 部屋の隅にシャワー付きの湯船が出現する!! 小型浴室付きでリラックスできる空間に!
「それと……お酒をお願いしまーす!!」
ボン! テーブルの上に大量の酒が現れる!! 今回はたくさんモンスター倒してきたから大盤振る舞い!!
:まさにやりたい放題だな!?
:まるでファミレスのオーダーみたいな気楽さだ……
「すっごいね~~!? 【クラフト】ってなんでもできちゃうね~!?」
ティーシャは目の前に出現したお酒を前にして、まるで子供のようにはしゃいでいた。
そんな彼女を微笑ましく見ていると、ティーシャがこっちを振り返って提案してきた。
「それじゃ、今日はここで打ち上げしちゃおっか♪ ──いいかな、アヤカちゃん?」
「も、もちろんですよ!! 他でもないティーシャの頼みですから!!」
「やった~!!」
ティーシャは両手を上げて喜んだ後、テーブル上のビールに気づいてフフフと笑う。
「そうそう、今日はあたしもお酒飲んじゃうよ~~!!」
:なにっ!?
:ティーシャが飲酒!?
:神回きたーーーーー!!!
おぉ、ティーシャが飲むとあれば……
「どりゃぁ~~!! クラフト!!」
お酒はもちろん、ピザやチキンといった食事もクラフトで次々と作っていく。
そのままテーブルの上にドンドン追加していき、気が付けば食卓がかなり豪華に!! よしよし、頑張ってダンジョンでモンスター狩った甲斐があったな。
そんな中、俺に求めるような鳴き声がした。
「ピィーー!! ピィーー!!」
「あっ、そうだ! フワンちゃんにもご飯あげないと!」
フワンちゃんが口をパクパクしてエサを要求していた。俺は急いでモンスター用の生肉をクラフトする。
「はい、どーぞ♪」
「ピィ~~~~~!!」
生肉を口元へ近づけると、ガツガツとそれを食べ始めた。身体がデカい分、たくさん食べるタイプらしい。これは食わせ甲斐がありそうだな……。
そんなことをしているうちに、打ち上げの準備が完了した。そして──。
「「かんぱーーーい!!」」「ピィ!!」
いよいよ打ち上げが始まった!!
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