Column7 「食う」と「喰う」の違い
今回は「食う」と「喰う」の違いについて取り上げてみようと思います。
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早速ですが、皆さんには例文を見ていただきましょう。
——そんなに慌てて食べるなよ。いいから落ち着いて料理を
上記の例文の中に「喰え」とあります。この「喰え」は「食え」と表記するのとは、いったい何が違うのでしょうか。
まずは『漢字使い分けときあかし辞典』で、この二つの漢字の違いについてみてみましょう。
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【食・喰う】『漢字使い分けときあかし辞典』
〈基本〉一般には、「くう」の場合は《食》を、「くらう」の場合は《
〈発展1〉マイナスのイメージを強めたい場合には、「くう」でも《喰》を使うと効果的。
〈発展2〉マイナスのイメージを弱めるために、「くらう」で《食》を書いてもよい。
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このように書いてあります。どうやら、「喰う」にはマイナスのイメージがあるようですね。もう少し詳しい中身を見てみようと思います。
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日本語「くう」は、確かに品には欠けるものの、一種のバイタリティがあり、ほかにも様々な意味合いで使われる。とはいえ、どれも〝生きるために、主に固形物を口から体の中に入れる〟という意味から発展したものなので、《食》を使って書き表してかまわない。(『漢字使い分けときあかし辞典』より引用)
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ここまで読む限り、「くう」は「食」で表してよいということが書かれていますね。しかし調べたいのは「喰う」の使う適切な場面(状況)についてなので、続きも引用してみます。
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「くう/くらう」を漢字で書き表す場合には、「くう」ならば《食》を、「くらう」であれば《喰》を用いるのが、使い分けでの上ではわかりやすい。とはいうものの、「くう」も「くらう」も意味そのものにはそれほどの違いはない。《食》を使って「くらう」を書いたり、《喰》を用いて「くう」を書き表したりしても間違いではない。
たとえば、(中略)「こんな安月給では喰っていけない」「このエアコンはひどく電気を喰う」「人を喰った態度を取る」などなど《喰う》を使うと、マイナスのイメージを少し付け加えることができる。逆に、「無駄飯を食らう」「門前払いを食らう」「不意打ちを食らわす」のように《食》を使うと、「くらう」の持つマイナスの雰囲気を、多少、緩和することができる。
特に、「食らい付いて離れない」では、マイナスというよりはむしろ積極的なイメージになることもある。《喰》ではなく《食》を用いることが多い。
(『漢字使い分けときあかし辞典』より引用)
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このように書いてあります。
『漢字使い分けときあかし辞典』の内容を見る限り、特別「食う」と「喰う」に違いはなさそうです。そのため、どちらを使っても構わないということですね。
ただ、使い分けとして「くう」は「食う」、「くらう」は「喰らう」とするのが分かりやすいとだけ書いてあって、この辺りの使い手次第になりそうです。
個人的な意見としては「喰う」という形を見ても分かる通り、こちらには口編が付いていますので、これが何となく「食」よりも、食べることに対する執着のような強さを感じるなぁと思います。よって、「食」と「喰」に違いを出すのであれば、食べることへの執着の強さによって使い分けをするのもよいのかなと思いました。
また、「喰」にはマイナスのイメージがあるとも書いてあります。それを利用して、「くう」の使い分けをするのもよいかもしれませんね。
一方で、「くう」を「食う」もしくは「喰う」は、どちらを使ってもよいということでしたので、お好みのほうを選んでどちらかに統一してしまう方法もあるでしょう。そうすれば文字上の差異は出なくなり、「食う」に積極的なイメージが出ることも、「喰う」にマイナスなイメージが出ることもなくなります。(もちろん、読者の方が持っている「食う」と「喰う」のイメージが消えるわけではありませんので、後は読み手の捉え方次第、つまり読者に
皆さんは「喰う」と「食う」の違いについて、何か感じていることなどはあるでしょうか。
<掲載元>
◇『ことば』2023年4月 Column2
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