夏だ!海だ!水着だ!:3
「さてさて、夏のダンジョンはどんな魔物がいるかな?」
「楽しみですね」
「あれ、釣りに来たと思ったんだけどなぁ…」
事の経緯を簡単に説明するとこの通り。
『釣りしようか~』→『ダンジョンって魔物が魚群みたいにわんさか居るよね~』→『じゃあ水着でダンジョンを攻略しようか~』
とまあ、そんな事があったりなかったりして、私たちはサマーイベントバージョンのランク8ダンジョンに来ていた。
人間側の推奨ランクはランク115。トキハちゃんはランク300だし、純白ちゃんももうランク200まで上がっているし…。
「あれ、もしかして私のランク40って低い?」
「そうですね…」
「むしろなんでランク40から一向にランクが上がらないの?」
「それはほら、これを付けてるから」
そう言って首に掛けたネックレスを取り出す。
「これ…【
「何でこれ着けてるの?ランク上がらないじゃん?」
「ただの気分かなぁ~」
それ以上でもそれ以下でもないんだよね~。正直ランク40あれば案内人のお仕事はできるし。
「別にランク上げるだけが全てって訳じゃないしさ~」
「でも、周回だとか案内だとかで、ランクを上げられる基礎を作ってくれたのは間違いなくリリィさんですもんね」
「本当、初心者の頃はお世話になったよ」
「困った時はリリィさん、ですもんね」
私は案内人であってなんでも屋じゃないんだけどね~…。
「まあ、初心者じゃなくても困ったら私を頼ると良いよ。私ができる事には限りがあるけどね」
■
なんて雑談もほどほどに、私たちは本格的にダンジョンの中を進み始めることにした。
「…この鎧は…」
「十中八九【
【
「だとすると…動き始めるのはこの辺りかな~?」
そう言いながら一歩距離を詰めると、鎧の胴部から影が伸びて他のパーツとくっつき、やがて人型になって立ち上がる。
「1、2、3、4、5…結構数いるね~」
「少なくとも10体ってところかな。この時点でもランク90くらいは無いと厳しいね」
「…正々堂々、正面から叩き切ります」
やる気のトキハちゃんが鞘から抜刀して、刀を構える。
「…、っ!」
刹那、トキハちゃんがその場に残像を残して消えた。【
「うへぇ、あんなに速い個体がいるのかぁ…あれはトキハちゃんじゃないと無理そーだねぇ~」
「はぁ…私は見るからにパワータイプのやつを相手するから、残りよろしくね」
「えっ」
見るからに他の個体よりも大柄な【
そりゃ当然、ヘイトも向くわけで。残りの【
「はぁ…仕方ないなぁ…。一対多は正直、そんなに得意じゃないんだけど」
多勢に無勢、四面楚歌…ではないけれど。
「やるしかない、かぁ…。準備運動してる余裕はなさそうだし。【空中跳躍】、【剣術・バーニング・ドライヴ】!」
空中跳躍で飛び上がり、その高さから【剣術・バーニング・ドライヴ】の急加速で一気に速度を乗せて地面に剣をぶつける。
周囲を爆炎が包み、【
どうにか防御が間に合った個体は、鎧が融けながらもどうにか本体を守ったようだ。
「…けど、それだと本体丸出しだよ?―――ほいっと」
【
剣を引き抜くついでに鎧を踏み台にして飛び上がり、もう一体の【
「…ありゃ、もう終わっちゃった」
やっぱりバーニング・ドライヴはやりすぎだったかなぁ~…。
トキハちゃん達は大丈夫かな?
■
「―——くっ…!」
この個体…隙が少ない…。あともう少し…構えを崩すことができれば…!
「はぁっ!」
【
その一瞬のうちに、刀で受け流す防御から、刀で受け止める防御へと切り替える。ただ当然、構えを変えるには隙が生じる。
その一瞬の隙を、【
「―――それを待っていました!【刀剣術・神速迅雷】!」
空に走る雷のような速さで【
「…はぁ…」
ちょっと疲れました…。
「リリィさんは…もう終わってますよね流石に…」
相変わらず、リリィさんには勝てないですね…。
■
「―――力強いね…!」
まともに鍔迫り合いしても勝ち目がないなこりゃ…。受け止めれても…押し返せないし…。
「―――よっと」
ただ、こういう奴は受け止める状態から一気に受け流してやるとこの通り、あっと言う間に体勢を崩す。
「もう少し踏み込みを深くしなきゃね。【剣術・ホローブレード】」
真空の目に見えない刃が、【
「…さて、リリィさんは…もう終わってる。流石だね」
私がリリィさんに勝つのはいつになる事やら…。
――――――――
作者's つぶやき:水着でダンジョン攻略ですよ。実際にやったら防御力なんか皆無ですよ皆無。
装甲軽視の機動力重視…当たらなければどうという事はない。
という事でしょうか。
…して、テストで開いてしまった分の埋め合わせのため、ひとまず今日は2本同時投稿をさせていただきました。
明日からはまた1本投稿に戻ると思います。
――――――――
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