第13話 嵐の前の静けさ

6日目の朝。


「セブンフォレスト?」


あれから急いで作成した豆腐小屋【笑】の前に座る俺は、目の前で2mは超えよう木製の大剣を振るうエルザに問う。


「あぁ、この森は7日以内に抜けないと永遠に迷い続ける事になる恐怖の森だ」

「エルザがそう言うってことはこの森にそれなりの理由があるわけだな…」

「この森は冒険者共は愚か、人っ子1人として寄り付かない有名な森だ。 理由は凶悪な魔物の群れ…そして7日毎にこの森は姿を変える」

「す、姿を変える?」

「あぁ…不思議な事に川が無かった所に川が現れたり。 ダンジョンが無かった所にダンジョンが突如現れたり。 未知の建造物の出現に、まぁ…あげていけばキリがない」


や、やべぇ…俺らは知らずにそんなとんでもない森のなかでゆっくり探索しようなんて息巻いてたわけかよ


「ナビは知ってたか?」

『いえ、知りませんでした。 ここがとんでもびっくりな場所だったとは』

「だからこそ、普通の冒険者共はここに寄り付きもしない。 一度迷えば終わりみたいな所だからな? ちなみに、この森に入るとコンパスは機能しないし…空が見えないせいで正確な方角が解らない。 おまけに…」


目の前でドンッ!! 軽く20m以上は飛び跳ねたエルザは―――

ゴンッ!!


「くぅ~~~…これだ、これ! この原因不明の結界があって上から景色を眺める事もできやしねぇんだ。 あ、ついでに言っておくと話によればこの森の上空はワイバーン共も近寄らないらしい」


まるで天井に強く頭を打ち付けたかのように地面に落下するとエルザは両手で頭を押さえた。

というか、いま…滅茶苦茶飛んだよな? この世界の連中ってこんなことを軽くやってのけるのか!?


「で、この森に住もうと森へ入ったが早々に心が折れたと?」

「…ははっ…その通り。 そこからは真央に話した通りだ! で、諦めてたその時! 塀に囲まれた場所を見つけて、一目散にこの拠点へ向かってきたという訳さ!」


エルザの話によると、この森で”骨を埋める”つもりだったらしく…永住を決めてここまでやってきたらしい。

が、現実はそう甘いものではなく…木々は伐れないし。 土は耕せない―――辛うじてその辺の枝木を使って火は起こせたらしいのだが。

この森に”住まう”事は出来ないと早々に理解したエルザはなんとか森を抜けようと努力はした。


「が、無理だな! はははは! いやぁ~参った。 正直、真央がこの森に住んでなけりゃ…正直そのまま死んでた、いやぁ~死んでたね!! はははは!! …はぁ…」

『おまけにエルザの身体に刻まれた”竜の呪い”でしたか? その作用で人里には住めなくなってしまったと』

「そっ! その通りだ! ナビ! 生涯孤独で死ぬもんだと思ってたが―――」


凄まじい目力でこっちを見つめるエルザ。

正直言ってその眼はまるで獣のようである。


『吊り橋効果に加えて。 生涯の伴侶を見つけた―――えぇ、えぇ!! いまならエルザの気持ちが解りますよ! ずっぽりやりたかったんですよねぇ!?』

「あぁ。 色んな街では散々な目にあったが! しかーし! 私は真央の顔を見てピンと来たね! こいつは…私を女として見てるってね!!」

『はは~ん! 流石はエルザですね、マスターの女性経験の少なさを見越して先手を打ったわけですね!』

「あぁ!」

『いやぁ~惜しい。 非常に惜しかったですよ、エルザ! もう少し押せばイケてましたよ?』

「な、なんだって!?」

「あぁ~やべぇ。 そろそろ拠点の最終チェックを始めないと~明日は襲撃日だ~がんばるぞ~」

『「あ…逃げた」』


拠点の襲撃日に備え俺は、各所の最終チェックを行う事にした。

たった1人のエルフが増えただけで、この賑わいとは…楽しいが半分…不安が半分と言った所か。


「さて、1号! なんとか間に合いそうか?」


拠点内部に建った見事な壁のチェックを行う1号に声を掛ける。


『艦長! 間に合う事は間に合うでありますが、やはり魔物に対するデータが少なすぎるでありますな。 どのような行動パターンでこの木の壁はどれほどの強度を有するのか。 念には念をでありますが、一応衝撃に強くなるように補強はしていくつもりであります!』

「そうか、ありがとう。 感謝する。 そうだな…こればかりはぶっつけ本番という所だろう。 まぁ、何時も通りの俺達ならば問題ないだろ」

『はっはっは! そうでありますな! 長きに渡る戦いを経験してきた我々ならば、これしきの事! はっはっは! それに私にも、これがあるのでなんとかなるであります!』


と1号が構えたのは、木製の剣と盾。 ついでに背中には木製の槍がマウントされている。


『まさか、元々あったマウント用ラックがこのような役に立つとは! まるで、異世界の戦士になった気分でありますなぁ!』

「さて…こっちも出来る限りの事をするか。 ナビ、戦闘データの収集は任せたぞ」

『えぇ、任されました。 それでは作戦会議と行きましょう』


その後、日が沈み夜も更けた頃である。


―――襲撃まで24時間―――― 

と、カウントダウン付きのディスプレイが出現したのは。



―――――――――――――――――――――――――


いよいよやって来た襲撃日! 

拠点防衛の人数は たった3人…果たして上手くいくのか!?


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