第14話 襲撃の日~防衛戦開始~ 前編
7日の夜。
今朝までの森の様子とは打って変わり、空の色は漆黒に染まり…青い霧の様なものが現れていた。
『ぶ、ぶ…不気味でありますなぁ…』
「なるほど。 空はこうなってた訳か…それにしても、この霧…何度経験しても慣れないねぇ…」
残された時間は1時間程。
襲撃を目前に俺達は最終チェックを行う事にした。
「さてと、いよいよ魔物による拠点の襲撃が始まる。 エルザの情報によると、蒼い眼をした魔物には要注意という事だ」
『了解であります!』
「あぁ。 何度かやりあったが、あれは普通の魔物じゃない。 力が幾分か増してるように感じた。 蒼い眼をした魔物を見つけた時は私に通信を送ってくれ―――優先でつぶしに行く」
「という訳だ。 俺と1号の作戦は各個撃破! が、集団で接近する敵を優先する」
生憎、敵の数は不明――だが、集団行動する魔物が現れた場合も想定し動く事になるだろう。
『はっ! して、艦長。 ほ、ほんとうに艦長が陽動を担当するんでありますか?』
「当り前だろ。 遊撃するにしても俺じゃ、効率が悪すぎる。 だとするならば、拠点に接近する集団の撃破は1号に任せた方が適任だからな。 おまけに、エルザにはデカ物の相手を任せるんだ。 拠点内での戦闘は控えた方がいいだろう」
「だな。 生憎私は魔法もつかえなけりゃ範囲攻撃も、この呪われた身体じゃ難しい。 だからこそ、力比べなら問題ないってわけさ!」
自慢げに木製の大剣を振り回すエルザは準備万端と言った所か。
「それと! さっきも言ったが、私の竜の呪いの効果は群れや小さい魔物に対して効力を発揮しちまう。 ビビッて散っても面倒だろう? 集団を発見したときはしらせてくれ―――デカ物を遠ざける」
「あぁ、任せてくれ。 さて、いっちょやってやるか!! 全員! 配置に着け!」
『はっ!!』
「任せなぁ!」
――――――――――――――――――
森の様子は次第に荒れ始めるとカウントダウンが始まる。
『襲撃予定まで―――5、4、3、2、1。 ジジジ――― 拠点のコアを展開―――コアを展開致します』
「コア?」
ガチャン!!
後ろで光り輝く管理コンソールが変形を始める。
おいおいおい! なんだそれ!?
ガチャガチャと機械的な音を発するそれの中心部からは ”心臓部”ですよと言わんばかりの赤い結晶が現れた。
そして―――――
『ビーコン展開―――宇宙戦闘用基地母艦ガーンデーヴァへ接続開始。 ―――――起動』
結晶から発せられた赤い光が柱の様に天へ上る。
どうやら光の行く先はガーンデーヴァらしい…どういう事なんだろうか?
『おぉぉぉ! これはこれは! ド派手な演出ですなぁ~はっはっは!』
『な、なんだいそりゃ? 空を貫いてるじゃないか!?』
『これより、魔物の群れによる襲撃が開始されます。 敗北条件はコアの破壊。
接近する全ての魔物を撃破してください―――ご武運を』
ピコンッ!
――――WAVE 1―――――
ゴブリンとボスゴブリン 0/10
―――――――――――――
ん!? なんだこの表記は!? WAVE!? まさか…そういうタイプのやつか!?
『ははは…まさか。 なんでもねぇところからゴブリンとボスゴブリンが登場とはなぁ! 前方に注意だ! ボスゴブリンは任せな!!』
『エルザ。 前方へ突撃―――』
『艦長! 前方で緑色の小人みたいな連中が弓を構えているであります! こちらは射程外の為! 作戦通り魔物のスキャニングを開始!!』
「了解…まさか。 こいつをいきなり使う事になるとはなっ!!」
俺は隣に置いてあった。 木の板をただつなぎ合わせた四角い巨大な畳のような物を前方に構える。
『射撃を確認! 着弾まで3、2、1! 艦長!! 今であります!』
「よし、任せろぉぉ!」
俺は黄昏の
『来ます――』
ババババ!!
矢の着弾を確認した俺は声を荒げる。
「エルザ! デカ物の陽動は済んだか?」
『あぁ! バッチリだ! 後は任せたよ!』
「任された。 1号! 距離は!」
『六時の方向。 距離20でありますな! 奴ら、バカみたいに隊列を組んで接近してくるであります!』
「そうか…だったらこいつの出番だな」
すかさず隣にある幅5m程の丸太を持ち上げると、俺は前方に転がすように投げる。
「ほらよ!!」
ごろごろと丸太の転がる音が聞こえる。
そしてゴブリンの群れに当たったのだろう、奴らの叫ぶ声がこちらまで響いて来た。
『『『『ギャギャギャ~!!』』』』
『ふぅ~! 着弾であります! が、艦長。 ダメージを負ってる様子ではありますが、まだまだ火力不足という所!』
「そりゃそうだろうな」
俺自身も一発で仕留められるとは思っていない。
それに…この時間の魔物達は強度も増しているんだろう―――割と本気で投げたんだけどこの程度か。
『来ますよ。 マスター!』
「さて…やるか!」
次々と作り置きしていた丸太を投げる俺は着実にゴブリンの群れを削ってゆく。
当初はできるだけ死体を綺麗に残していく方向で考えたが、最初でこれならそれも難しいだろう。 なんせ…
『真央、すまない! 武器がおじゃんだ。 次を頼む!』
「…はぁ。 そっちもそうなるよなっ!」
『エルザの現在位置は3時の方向。 距離15です』
「しっかり受け取れよ…ほらよ!!」
地面に突き刺した木製の大剣を握った俺はガイド方向へ合わせて大剣を投げた。
『流石だな…バッチリだ!! いくぞぉ!』
『ゴブリン残り 3―――』
『艦長! あのくされゴブリンどもめ! 頭を使ったのか三手に分かれたであります!』
「はぁ!? くそっ…こうなりゃ仕方ない―――俺もそっちへいく!」
『ど、どう言う事でありますか!?』
そういえば、先ほどの板に刺さった矢がある事を思い出した俺は全ての矢を引き抜きそのまま防壁の内側に立った。
お~それなりに見えるな。
「1号! 方向は?」
『任せてくださいであります! しっかり、マーキング済みでありますよぉ~!』
と、自慢げにディスプレイを表示した1号は赤い3つの点を指さした。
「なるほど、こりゃ名案だ。 ナビ! 正確な位置は計算できるか?」
『可能です。 ですが、木々を縫って接近してくるとなると―――』
「性格な狙撃が必要になると…が、この状況で防御を優先する訳にもいかないな…となると」
そんなときである。
『ほらよ! 1号! こいつが必要だろ?』
エルザの通信と共に木製の弓が1号の丁度足元に落ちて来た。
『お、おぉ! エルザ殿! これは弓でありますなぁ! しかし…矢が~』
と欲しそうにしていたので俺は先ほど抜いて来た数本の矢を1号に手渡す事にした。
まてよ? これがあるってことはだ?
「1号! やつら、矢筒は持ってたか!?」
『矢筒? おぉ! そういえば、背中に矢を―――』
「なるほど。 そりゃいいことを聞いた」
『か、艦長!? な、なにを!?』
次の瞬間には既に俺の身体は拠点の外にあった。
「現地調達だ!! 最悪拠点への攻撃を許すとして…目的は―――あったぞ!!」
『なるほど。 奴らの武器を使うのですね』
「あぁ。 鴨が葱を背負って来るってのはこのことだな。 1号! 防衛は任せた! 俺は矢の回収に向かう!」
さて、とはいえしっかり残っている矢はあるのか疑問だが。
最低でも今残っている3体のゴブリンからは手に入るだろう、これはなんとしても手にしておきたい所だ。
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