第2話 一思いにやってくれ!!

それから見知らぬ森でゴネ続ける事、数十分。


『いいですか、マスター? こちらの資料をご覧ください! 【異世界転移に巻き込まれちゃった★ 俺のハーレム生活】の主人公”祐樹”くんは同じく異世界転移に巻き込まれた際! 森にて 自らの身体能力が上昇している事と肉体が強化されていると自覚しているんですよ!? どうですか? 何か身体に変化は?』

「…いやいや、そもそもなんで”ナビ”お前が聞いてるんだよ。 お前になら俺の身体の状況が解るだろうが」

『——————ノーコメントで』

「はい!! 詰みました! 異世界人生詰みでーーーす! さぁ、ナビ! 一思いに毒ガスでも電気ショックでもいいから俺をやってくれ!! さぁ!!! いや、この際、異世界製のトラックでもいい! なにかいないのか! 最悪、化け物でいいから出てこい!! おーーーーーーーーーーーーい!!!」


大の字で倒れたままの俺はワザと森全体に響くように大きな声を発する。

シーン。  ―――――鳥の鳴き声ひとつ聞こえやしない。


『マスター。 流石に【超高性能AI・ナビゲート・システム】通称:ナビとはいえ、そのような殺傷能力の高い機能は備えていません。 というか! 地球に付いてきただけで”何もできないん”ですが―――ねっ!』


と、まるで少女の様な可愛らしい声で言い訳を始めるナビ。

そう―――俺が詰んでいるといった理由は”ここに”もう一つある。

自称【超高性能AI・ナビゲート・システム】事、ナビ様は前世で俺と共に戦って来た戦闘用ナビゲートシステムのひとつで、仕組みは俺の脳に特殊なマイクロチップを直接埋め込む事で特殊な通信を可能としたシステムである。


が、しかし―――地球外生命体が存在していない”地球”に再び生まれた俺にとっては不要の存在。

なのだが、しかし! どういうことか、マイクロチップも埋め込んでいないのにナビこいつの声が丁度5歳の誕生日を迎えた頃から聞こえるようになった。


ま、まさか! ということは! 超兵器まで一緒に!? 何てことも思った事もあった。

しかし! しか~し! ただ俺の生活を覗き見して、時にはテストのカンニングに協力し、まるで友達のように――――


「喋るだけなんだよな…お前…」

『そうですが、なにか?』


どういうことか、システムという名の幻聴だけ聞こえる奇妙な存在と化していた。

いや、まて…訂正しよう。 ユーモアセンスだけは以前の100倍位にはなったと思う。


いままで事務的な受け答えが多かった気がするし、その分ではある種アップデートが入ったと言っても過言ではないのだろう。


「けど…それだけなんだよな~…お前!!」

『いえいえ、それだけはございません。 マスターが購入したumazonの漫画・小説…そして映像作品の数々は私の中に記録されています! 数百、数千! と”音声のみ”でお送りする事も可能なのです!』

「いや!だったら! 映像と画面みせろやぁ!」

『————ノーコメントで』

「ふざけんな!!」


と、その時である。

ピコンッ!


俺の目の前に突如現れた 宙に浮く半透明のディスプレイ――――

そこには”異世界転移に巻き込まれちゃった★ 俺のハーレム生活”の文字と表紙の映像が映っていた。


『「…え?」』

『「う、映った!?」』

「いや! 何をナビまで驚いてんだ! 今まで、出せないって言ったじゃねぇか! これは…おま…」

『解りません。 突然、一部機能が回復致しました』

「……」


何時ものおふざけ口調じゃないナビの返答を聞いて、俺は息を吞んだ。


『「………」』


そもそも映像やナビゲーションシステムを使用するにはデータを送信する母体が必要であり、母体が存在していなかったからこそ幻聴のように声だけ聞こえていた。

が、それらの機能が回復したという事は俺達にとってあまり嬉しくない報告でもあった。


『宇宙戦闘用基地母艦ガーンデーヴァ…まさか、この世界の宇宙そらに居るというのですか?』

「………おいおい、いよいよ笑えねぇぞ…こりゃ」



―――――――――――――――――――――――



元々昔公開していた作品の設定も生かしながらの第2話! 

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