結婚
僕は一瞬動揺したけど、その後すぐしたら悲しみで胸がいっぱいになった。
今更、ユイになにもできない僕は、
「結婚しよう」
とも言えずに、ユイをただ見ていた。
僕はその時、結婚だけは誰ともしないと決めた。
僕にできることは
文通だけのような気がしたから。
あの夜、君に別れを告げた。
もしも僕があの時、こうしていたら、
そんな後悔ばかりがよぎる。
僕の恋は、愛は、儚い行為だったんだろう。
僕がユイから離れた理由を、僕のことを、僕の汚さを、僕は恐ろしいほど知ったから。
僕は君に手紙を綴ろうと思う。
君が返事をくれるか、知らないけど。
帰宅した僕の目には涙が溜まっていた。
泣く資格のない僕を、抱きしめてくれる腕を探した。
だけど、現実の君は、
しゃべることもできず、
僕は自分がこわれていくのを感じながら、あの日のことを思った。
君が抱きしめてくれたあの日のこと。
こんな時でさえ、僕は僕のことを考えている。
(資格ないよ)
そんな声が胸の奥から聞こえたような気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます