結婚

僕は一瞬動揺したけど、その後すぐしたら悲しみで胸がいっぱいになった。

今更、ユイになにもできない僕は、

「結婚しよう」

とも言えずに、ユイをただ見ていた。


僕はその時、結婚だけは誰ともしないと決めた。


僕にできることは

文通だけのような気がしたから。


あの夜、君に別れを告げた。

もしも僕があの時、こうしていたら、

そんな後悔ばかりがよぎる。


僕の恋は、愛は、儚い行為だったんだろう。

僕がユイから離れた理由を、僕のことを、僕の汚さを、僕は恐ろしいほど知ったから。


僕は君に手紙を綴ろうと思う。

君が返事をくれるか、知らないけど。


帰宅した僕の目には涙が溜まっていた。

泣く資格のない僕を、抱きしめてくれる腕を探した。


だけど、現実の君は、

しゃべることもできず、


僕は自分がこわれていくのを感じながら、あの日のことを思った。



君が抱きしめてくれたあの日のこと。


こんな時でさえ、僕は僕のことを考えている。


(資格ないよ)

そんな声が胸の奥から聞こえたような気がした。





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