第3話

「縄文人さん、私そろそろ帰ります。猫が家で待っているし、歯医者の予約も取り直さないといけないかもしれないので。」

「そうですか。お会い出来て嬉しかったです。」

「私もです。地球の未来はどうなっていると思いますか?」

「私たちは地球という名の宇宙船に乗っている仲間なんです。みんなで力を合わせれば素晴らしい未来が待っていると思いますよ。」

「また、お会い出来ますか?」

「出来ます。」

「魂は永遠ってことですか?」

「私はそう信じていますよ。」


不思議なのは縄文人さんも、北斎さんも何を言っても受け容れてくれることだった。

私も未来の人が何を言っても受け容れる自信はあるが。


ゆっくり静かに、あの木の下まで歩いて行った。

帰らなくてはいけない。振り返らず、気持ちが変わらないように。

猫が待っているから。

猫が待っていなかったら、どうしていただろう。


何もなかったように歯医者の待合室の椅子に座っていた。

「夏月さん、1番の入口からどうぞ。」

予約を取り直さなくて済んだらしい。


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