第13話「夜に沈む」

夜が訪れるたび、まなみと私は無意識に求め合うようにして互いの存在に溺れていった。触れ合うたびに、彼女が私の中で大きな存在に成り代わっていく。


まるで二人だけの世界に閉じ込められたように、誰にも見せられない禁断の蜜を分かち合っているような甘美さが、胸の奥にじんわりと広がっていった。ある晩、まなみが私の肩にもたれかかりながら、かすかな声で囁いた。「リカさん、あなたのそばにいると、何もかもがどうでもよくなるの。こんなに堕ちていってもいいんだろうか…」その言葉が、私の胸にズシンと響いた。


彼女と共にあることで堕落している自分を知りながらも、それをやめられない自分がいる。


答えられないまま、私はそっと彼女の顔に手を伸ばし、その瞳にじっと見入った。


まなみの目には、愛と欲望が絡み合い、逃れられないほど深く沈んでいた。気がつくと、私たちの唇が触れ合っていた。最初は優しく、そして徐々に深く、止められない渇望が互いを支配していく。


心が熱を帯び、体の奥底に眠っていた欲望が抑えられなくなる。触れ合うたび、彼女の存在が私を狂わせていくのが分かった。罪悪感や理性はすでに遠くに消え、ただ彼女だけを求める心が全てを支配していた。


その夜、私たちはベッドに潜り込み、何度も何度も唇を重ねた。彼女の吐息が私の耳元に響くたび、欲望が私を更なる深みに引きずり込んでいく。


まなみの細い指が私の指を絡めとり、その触れ合いがまるで永遠に続いてほしいと願っているかのように感じられた。二人だけの夜が終わらないことを願いながら、私は彼女に、彼女は私に溺れていった。「リカさん、私…もう元の自分に戻れない気がする」その囁きが、私の心の底で暗く、重く響いた。


もはや私たちは、愛の甘さと背徳に深く沈み込み、何もかも忘れて互いだけを見つめていた。


理性や罪悪感はかき消され、愛し合うことが堕落そのものだと分かっていながら、やめられなかった。朝が訪れても、私たちは何度も触れ合い、愛し合い続けた。もはや彼女は私の全てであり、彼女がいなければ私の心は空虚に帰るだろうという確信があった。


リカ モノローグ


私たちは、この愛が堕落であると知りながら、もう後戻りできないところまで来てしまった。まなみがいない世界など考えられない。彼女に触れるたび、彼女が私を壊し、私も彼女を壊しながら共に沈んでいくのを感じている。この堕ちていく感覚が、何にも代えがたい甘美なものであると同時に、私たちが戻れないところまで来てしまった証拠だ。その夜から、私たちの間にあった線は完全に消え、愛と欲望が二人を支配し続けていた。

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