第43話

日曜日は2人ともが仕事のお休みの日で、いつも何をするわけでもなく過ごす。掃除をして、アイロンをかけたり、買い物に行ったり。



夜になって、テレビでは昔流行った歌特集みたいなのをやっていたのをつけっぱなしにしたまま、叶和がゲームをするのを隣で見ていた。


相変わらず叶和のスマホは空っぽのまま。

だからゲームをしているのはわたしのスマホで、インストールしたまま放っていたパズルゲームを叶和はやっていた。


そんな中、テレビから福山雅治の「I am a HERO」が流れた。



「懐かしい。この曲ドラマの主題歌で流行ったよねー」


「中1の時初めてカラオケに行って歌った」



え?


この歌が流行ったのは、わたしが大学生の頃で……



「叶和……今、中1って言った?」



叶和はしまったという顔をして、ゲームをする手を止めた。



「本当は今、何歳なの?」



あきらめたのか、叶和は消え入るような声で答えた。



「18」


「18?」



コクンと頷く。



「一昨日で18になった」


「一昨日って……バレンタインデー?」


「2月14日が誕生日」


「それでケーキを喜んでたの?」


「沙也加にお祝いしてもらえたみたいで嬉しかったから」



24歳でもなく、27歳でもなく、ようやく18歳……



驚いたけれどもどこか納得もした。


「女の家を転々としてた」生活をしていたわりに、叶和はお酒を飲まない。タバコも吸わない。

いい加減なくせに、どこか真面目なところが不思議だった。

それに口数が少ないせいかとも思っていたけれど、話し方がどことなく幼い感じはしていた。



「叶和のこと教えて」



わたしの顔をじっと見るだけで何も言わない。



「何を聞いても、わたしは変わらないよ? 信じられる?」


「……前に沙也加は言ったよね? 自分は父親を殺したって。でもあれは事故で、沙也加のせいじゃない。でも、オレは本当に……」



また泣きそうな顔。



「人を殺した――」

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