第28話 元の関係

会社を出たところで、スマホの着信音がしたけれど、知らない番号だったからそのままカバンに戻した。

きっと何かのイタズラ電話だと思って放っておいたら、10分も経たないうちにまたかかってきた。


ワンギリでもなく、長くコールが続くので、固定電話の番号だったし、迷ったけれど出てみることにした。



「はい?」


「沙也加?」


「叶和? どうしたの?」


「……今日……冷蔵庫が壊れたから……店が早く閉まる。だから……店に来れる?」


「いいよ。今会社出たところだから、30分くらいかかるけど、いい?」


「待ってる」



固定電話はFILOUの電話番号だったんだ。


夜ご飯どこか食べに行こうって誘おうかな。

あーでも、家で食べた方がゆっくりできていいかな。

楽しいことばかり考えながら、急ぎ足でお店に向かった。

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