第21話

叶和は、痛そうな顔はするものの、シャワーを浴びて、買ってきた服に着替えたので、今度はちゃんとポケットの中を確認してから、着ていたものを洗濯機に入れた。



「本当に座ったまま寝るの?」


「横になると痛いから」


「眠れそう?」


「どうかな」


「一緒にテレビ見る?」



叶和が嬉しそうな顔をした。

子供みたい。



「じゃあ、明日は仕事お休みだから、夜更かししちゃおっかなぁ。お酒飲む?」


「飲まない」


「わたしだけ飲むよ?」


「どうぞ」



テレビをつけると、ちょうどゴジラをやっていた。



「これ観る?」


「観る」



2人で並んでゴジラを観た。

途中そっと叶和の横顔を見ると、楽しそうにしていた。


27歳は絶対嘘だよね。24歳もあやしい。

もう少し下なんじゃないかと思う。


でも、子供の頃近所に住んでいたバンドマンのお兄さんは、今のわたしの年くらいだったけれど、やってることも言ってることも随分ぶっとんでいて幼く見えた。人それぞれなのかな。



映画がクライマックスに近づいた頃、もう一度叶和を見ると、ソファの肘当てに重ねていたクッションにもたれかかって眠っていた。


だから寝室から毛布を持ってきて、叶和にかけた。

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