第3話

今日は木曜日だから、明日は資源ごみの日。

資源ごみは可燃ごみと違って夜のうちに出す人が多い。


マンション近くのゴミ捨て場にコタツが捨ててあるのを見て、コタツは資源ごみじゃなくて大型ごみなんじゃないかと思いながら、その横を通り過ぎた。

コタツの横には一緒に段ボールも捨ててある。これは資源ごみ。


小さな音が聞こえて、ふと視線を向けると、その段ボールが動いたように見えた。



猫?



そう思った瞬間、ドサッという音がして、立てかけられていた段ボールと一緒に、冷たい地面へ向けて何かが倒れた。



猫……じゃない……


人間。


それも男……の子?


シルバーアッシュの髪の毛に、カーキのパーカーを着たその子は、目を閉じたまま動かない。


眠ってる……?


こんなに寒いのに外で?



こういうのは関わらない方がいいに決まってる。

そのまま無視してマンションへ急いだ。


少しして振り返ると、男の子がまだそこに横たわったままでいるのが見えた。



関係ない。



マンションのエントランスまで来たところで、頬に冷たいものを感じ、上を見ると、はらはらと小雪が舞っていた。


ついさっきまで雪なんか降っていなかったのに。


どうりでいつもより寒いはず。


早く部屋のエアコンをつけて、温かいお風呂に……



さっき、ゴミ捨て場で見た男の子の上衣はパーカーだけだった。

外で過ごすにはあまりにも薄着……



関係ない。



誰だかわからないし、第一、こんな時間にあんな場所で眠っているなんて危ないやつに違いない。何かの犯罪に関わってるかもしれない。



エントランスを入ってすぐのところにあるタッチパネルに暗証番号を入れて、オートロックの扉を開けた。


真っすぐにエレベーターへ向かう。


ついさっき誰かが乗ったらしく、エレベータは上へ向かっている途中だった。



建物の中だというのに空気が冷んやりとしている。

雪が降り始めたし、外はもっと……



明日会社へ行く時、さっきの男の子があの場所であのまま倒れていたら――



関わったりしたら絶対に後悔する。



そう思ったのに、気がつくと足はマンションの外へ向かっていた。

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