第6話 ふぇ?

目覚めは良かった。昨夜は告白の返事についてずっと考えていて、夜更かししてしまったが、思ったより良い睡眠だった。顔を洗うために洗面所に行き鏡を見ると、クマができているのが見えた。百パーセント寝不足が原因。私は当たり前のことを確信した。クマを隠すために、そして告白の返事をする一人の女の子として、いつもより念入りにメイクをする。

いつもと同じ時間に家を出て、いつもと同じ電車に乗り、いつもと同じ音楽を聴きながら大学に着く。そして授業を受け終わり、いつもの休憩スペースにはあえて行かず、食堂で奈美と食べることにする。

午後の授業を受け終わり、私が指定した旭公園に着く。そこは小さい子供たちがいるくらいで、私を気にする人は一人もいない。数分待つと、

「福岡さんごめんね、他の教授に頼まれて一緒に荷物を運んでて。」

と走りながら教授が来る。

「別にいいよ、それより昨日の告白なんだど、私なりに答えを出したから聞いてくれる?」

教授は一呼吸おいて、

「分かった、どんな答えでも僕は福岡さんの意見を尊重するし、関係が悪化することはない。」

教授の目が真剣な目に変わった。

「まず、告白に対しての答えだけど…私も篤志くんと同じ気持ちです。私でよければお付き合いさせてください。」

「ふぇ?」

教授が力の抜けた声を出す。

「え、教授どうしたの?」

「え、オッケーなんだよね?」

私は予想外の反応に少し困る。

「教授どうしたの?」

「だってあの話の入りは断られると思ったから、正直拍子抜けだよ。」

「まだ話したいことがあるから話してもいい?」

「いいよ。」

少しのトラブルに見舞われつつも、私は実質的な本題に入る。

「私たちの交際についてだけど、他のカップルみたいに頻繁にデートはできないし、少なくとも教授が成人するまで一線は越えない。他にもいろんな制約がつくけどそれでもいい?」

私は少し厳しめに確認をとる。

「分かった、僕だってそれら全てを理解した上で、付き合いたいって思ってる。」

私たちはお互いがお互いを守るため、守らないといけない制約を交わすことで、禁断の交際をスタートした。

「じゃあもう十八時だし私は帰るね。また明日、篤志くん。」

「じゃあね、小春。」

夕陽で影ができる中、一般女子大生の私と天才十代教授はそれぞれの帰路に歩みを進める。その光景は、険しい道を進み続ける勇気ある者と遜色ないだろう。私たちの大学生活はまだまだ始まったばかり。

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