第5話 俺との恋愛ってイケナイことかなぁ?
「俺が拾ってやろうか。」
教授の口から信じられない、いや、少し期待していた言葉が聞こえた。そして私の体温が徐々に上がっていくのを感じる。少しの沈黙の後、
「教授何言ってるんですか?私たち教授と生徒の関係ですよ。法律と世間から認められないですよ。」
少し嬉しい気持ちを抱えながらも、現実的に無理な話であることを理解してしまったため、年上として教授を悟らせようとする。
「じゃあ、福岡さんは僕と付き合いたいとは思ってるんだね。」
「あっ、それは…。でも、法律で…」
「法律で教授と生徒が付き合うこと自体は禁止されてないよ。普通は二十歳と四、五十歳だから問題あるけど、僕は十七だから高校生と大学生の恋愛と同じでしょ。あと成績とかテストは、准教授が決めるって大学の方から説明されてるから、公平性も保たれてるよ。僕との恋愛ってイケナイことかなぁ?」
確かに交際するだけであれば、高校生と大学生でも問題はない。だが教授と生徒という前提があれば変わってくるという世間的な考えもある。この二つが私の中で交錯する。
「ごめん、ちょっと考えさせて。明日の十八時、旭公園で返事させて。」
私は決めかねて保留にしてしまった。研究者として、そして異性として憧れの人からの告白、本当は付き合いたいに決まっている。でもそれが正解かと言われると簡単に”うん”とは言えない。
「分かったよ、明日楽しみしてる。じゃあこの話は終わって最近のアニメの話なんだけど…。」
教授は何もなかったかのように話題を変えて空気を入れ換える。
その日の夜、私は布団にくるまりながら、昼の告白について真剣に考える。
(私の本音は教授と付き合いたい。でも世間的に許されるものではないし、交際が露呈すれば、他の生徒から私も教授も蔑まれるだろう。付き合った場合、していいこととしてはいけないことの線引きは、年上で成人している私がしないといけない。でも私がしっかりしていられるのか?教授のわがままでも断れるのか?それに教授は研究で忙しいだろうし、教授の家族はどう思うのだろう。)
様々な思いが私の中で絡まり合い、考えれば考えるほど糸のもつれはひどくなる。そう考えているうちに時は流れ、就寝時刻の二十三時を大きく回り二十四時になろうとしていた。
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