第3話 恋愛っていいな〜
「じゃあ、みんなのことについて知りたいから、軽く自己紹介お願いしまーす。」
教授が元気に言う。
「私は福岡小春です。高校は私立恋彩出身で、趣味は友達と出かけることと本を読むことです。」
と軽く言うと、隣の生徒が、
「恋彩高校出身なんですか!可愛いなぁっ思ってて、もしかしたら⁉︎、って思ってたんですよね。」
と話し始める。恋彩高校は日本で初めて恋愛に重点を置く高校で、そのブランドにより志望生が多く、次第に恋愛の多い進学校となった有名校。
今の会話で空気がよりほぐれたのか、他の生徒も会話に参加する。
「で、福岡さんの元カレってイケメンばっかだったの?」
「えぇ〜、顔は良かったけど性格とか好みが合わない人が多かったかな〜。」
「へ〜、でも選択肢がたくさんあるのっていいな〜。」
と会話の内容が恋バナに転換していくと、
「恋愛っていいな〜。」
と教授が言う。
「朝倉教授って彼女いないんですか?」
私は関係性に反した質問をしてしまう。一瞬周りの目を確認するが、他の生徒も教授の恋愛について興味津々で、私の質問に疑問を持つ人はいない。
「中学の頃、一人だけ好きな人がいたんだ。でもその人の家の決まりが厳しくて、恋愛したら駄目だったらしくて僕は諦めたんだ。それ以降好きになった人はいないかな。告白は二回くらいされたけど、その時は研究で忙しくて断っちゃった。」
予想に反した重たい話で、少し場の空気が凍る。
「まぁ、これから恋愛したいなぁとは思ってるよ。僕だってみんなと同じ青春時代だからね。」
「そっか教授まだ十七ですもんね。でも仕事ってどうするんですか?教授って大変なイメージがあるんですけど。」
「なんか大学の方からは、三十歳なるまでは授業と研究だけで良いって言われてるんだよね。やっぱり十七の若造じゃできないですよ。それに僕としては嬉しいことこの上ないし。」
「へぇー、じゃあ高校の友達とかと恋愛できますね。」
「まあね、意外に自由がきくんだよね〜。」
と限りなく恋バナに近い雑談は、この後も数十分続き、お昼時に各自解散となった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます