第19話ファブリーズ
19話目。これはけっこう最近の事です。
旦那の転勤について行った先での出来事。特に変なところに行ったとか、人の多いところに行ったとかではないんですがその異常は突然やって来ました。
「…右腕が痛い。」
最初は昔大怪我(?)した時の名残で痛むのかな?明日雨かな?とか思ってたんです。だから雨の翌日には痛みが消えてたりとか、続いても悪化する事はなかったんですよ。
でもこの時は全然違いました。
日を追う事に痛みが増していって次第に肩まで痛くなってきて。
その痛みがだんだんと誰かが下に引っ張ってるような違和感に変わっていって。
旦那と一緒になってからこんなに大きな異変に会うのは初めてでした。
「いっったい…痛くて寝れない…シップの貼りすぎで赤くなってるし。どうするかねジョニー」
ずっと生活を共にしているクマのでかぬいぐるみ(名前はくま吉)に語りかけて気を紛らわす。
そんな時ふと思い出したんです。
「ファブリーズ除霊」
そう。それは友達(第二話のクレームで出てきた子)が面白半分に言っていた除霊法。
当時はそんなんで祓えるか!とジョーク談として盛り上がっていたのを思い出して一か八かやってみたんです。
「あなた〜の異変に狙いを決めて♪じょ・き・ん・スプレェ♪」
シュッ!!シュッ!!シュッ!!シュッ!!
「…変わらんな。やっぱ嘘か。」
と思った瞬間。
「あ、いや。軽い?痛みは引いた?」
少ししてから効果あったようで。腕の痛みは驚くほど引いていったんです。
まさか本当に効くとは。と早速友達に報告。
その日の夜でした。
旦那も帰ってきて夕飯も食べ終えて、寝ようか〜と横になった時。
左側を下に横になったんですが、何かが私の背後で勢いよく剥がれたんです。もうベリ!ってつきそうなほど。
そして耳元でなんて言ってるか分からなかったですが恨み言?を早口でボソボソと呟いて離れていきました。
「はぁぁぁ!?意味分かんな!!」
夫「え?どうしたの、嫁ちゃん。」
「今日さ、ファブリーズ除霊したの。あまりにもおかしかったから。そしたらたった今さ変な女がベリ!って剥がれて耳元で文句言って向こうに消えてったんだけど!!どゆこと!?喧嘩売ってる!?ジャッキーチェン流そっか!?」
夫「情報量多いなっ!!まって、ファブリーズ除霊なんてあるの!?」
「トッモから聞いた。ちょ、鍋とお玉で開戦の合図しようぜ。テレ〜レェ〜テレ〜レェ〜元気ですか!!イエス!!」
夫「大丈夫。いつもの嫁ちゃんだ。ファブリーズって効果あるんだね。へぇ〜!」
と。渾身のボケをサラッと流されて解せぬと言いながらまた寝ようとしたんです。
そこで気づきました。
「聞いてくれよワトソン君。体がな、めちゃくちゃスッキリ軽いんよ。」
夫「ワトソンって日本人じゃなくなってるよ。重かったの?」
「うん。右だけしがみつかれてズルズル引きずってる感じだった。それがなんと言う事でしょう。ファブリーズしただけでこんなに軽く…これぞ匠の技ですね。」
夫「ファブリーズ常備しとこっか。」
「まぁ使ったのリセッシュだけど。」
夫「えぇ!?」
「ほら、匂い系じゃん?家にあったのこっちだったし同じだろ。って。常備しとくか!」
夫「まぁ…いいならいいんだけどさ。」
なんて言いながら見せる現品になぜファブリーズと言ったとやっとこさツッコミをもらって以降、どちらかを常備しております。
効果あるとは思いませんでした。
以上19話目です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます