第13話玄関に向かう女

13話目。


これは私が実家にいた頃、よく体験していたお話。


皆さんは幽霊テストって知ってますか?

目を閉じて自分の家の玄関に立つとこを思い起こす。そして家の窓を全部開けて回って玄関に戻る。その間に誰かと会いましたか?


みたいな内容だったかと。


そこで誰かとすれ違ったりしていればそれがあなたの家にいる幽霊です。みたいな。


それが当時流行ってたんです。


私も友達に言われてやってみたんですがやる度に人数も人も違うのばかりとすれ違うんです。


でも何度やっても絶対的に変わらない人が一人。


階段側の壁に玄関を向いて立つ女。


それだけはどんなにやっても絶対そこにいるんです。


まぁだからなんだ。ですが。


そしてその女は当然、現実でも見るもので。


母「おーい○○(私)!ご飯だからお姉ちゃん呼んできてー!」


「は?ねーちゃんそこにいないの?さっき廊下歩いてるの見たけど。」


母「お姉ちゃんは2階で勉強してるってよ。アホな事言ってないで呼んでくる!!」


「??」


私の実家、居間の扉がくもりガラスなもので廊下はボヤけて見えるんです。


だから母が私にそう声をかける前に女の人が玄関に向かって歩いていくのを扉越しに見てたから何言ってるのかと。


やれやれなんて思って玄関に行くんですが、鍵は閉まっていて誰かが出た形跡もない。


おやや?と思って2階に上がれば姉はちゃんと自分の部屋にいました。


「うわ!いた!!ご飯だってよ」


「はぁ?死ねクソ。はいよ」


「返しのカウンターえぐ。」


まぁそんな事もあるか。と。下に降りて居間に向かって。


ご飯だーと思ってたら母から。


母「あれ?お前さっき外行かなかったか?」


「いや?姉を呼びに行ってた。」


母「んー?おかしいな、さっき玄関に向かって歩いてく人がいたからお前かと思ってお姉ちゃん呼ぼうと思ってたんだけど。」


「それワイちゃうよ。」


母「そうか。ま、いっか。お姉ちゃん呼んできたんだろ?お父さんもそろそろ帰ってくるしご飯運んで」


なんて言われて。危うく怒られるとこでした。


そして父が帰ってきてご飯食べてる時も。


「あ、みーちゃん!ほらおいで美味しいイカだよ!」


父「みーちゃんここだぞ?」


「え?今猫が廊下歩いてなかった?玄関に向かって」


父「お父さんは見てないなぁ。なーちゃんか?」


母「なーはここだよ。」


「んんんん???あ。」


当時飼ってた猫が廊下を歩いて行った。そう思って扉開けて呼んだんですけど猫ちゃんはちゃんと居間にいて。


なんだったんだ?と思いつつ扉を閉めたら白い服の下半身だけがス…。と玄関に向かって歩いていく。


怖くもないし何もしてこないけど、なんかフェイントかけられた気がして嫌なんですよね。


その女の人は私が大人になった現在も、実家を思い出すとそこに立っています。


そして今も、たまに実家に帰省してご飯を食べていると玄関に向かって歩いているんです。


何がしたいのか。害はないからいいんですけど、これが13話目です。

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