第7話夢の中のおじいちゃん。
今回はもう1つ。
なんか6話目で話した内容のまま終わったらまたあの夢見そうなんで、今度はほっこりする夢の話にします。
以前私の曾祖父さんのお話を載せさせて頂きました。
今回も曾祖父さんです。
その夢を見たのは私が高校2年生。アニメ遠征で東京まで友達と狩りに出ていた時の帰りの電車の中です。
ドンコって言って皆さん分かりますかね?方言だったら恥ずかしいんですが、私は小さい頃から特急でもなんでもない電車をドンコと教わってきました。なんでも昔の電車の通る音がドンコって聞こえていたからとかなんとか。
まぁそれはさておき。
そのドンコでゆっくりと帰っていたんです。
◇
『…あれ、どこだろここ』
青白く薄暗い部屋。
全く知らない家。
すぐに夢だ。と理解しました。
『動けるには動けるんだ。よっこらしょ』
そこではフカフカの布団に寝かされていて辺りを見回すと和室。
少し歩けばすぐに隣の部屋に繋がる襖が目に入ったんです。
『隣の部屋?』
怖いともなんとも感じない空間。
無警戒にガラリと開けたらそこは陽の光が入り込む明るくて広い、畳の部屋でした。
『おぉ…』
1歩、1歩と部屋に入る。
そうすればその部屋の中心に、重厚感ある漆塗りの和机と上座に座るおじいちゃん。
ただそのおじいちゃんはなぜか下半身がなくて。顔も大きなマスクを被っていて両腕もありませんでした。
『よく来たなぁ』
『!』
マスクを被っているのによく分かる、ニカッとした笑顔。
明るくて歓迎されている事は分かりました。
『そこに座りな』
『あ、はい』
促されて座ったのはおじいちゃんの目の前の下座。
よいせと落ち着きなく座ったところで、隣にいた着物に割烹着を来たおばあちゃんが立ち上がり、別の部屋に移って行きます。
『学校は楽しいか?』
『え、あぁまぁ、うーん…はい』
『そうかそうか。学べると言うこといい事だぞ。友達は多いのか?』
『多い…。ほどでもないけど…』
『そうかそうか。友達は大切にするんだぞ』
不思議とそのおじいちゃんとお話するのは楽しくて。とても嬉しい気持ちになりました。
ずーっとニコニコと笑ってるおじいちゃんに、段々と私も落ち着いてきます。
『色々悪かったなぁ…』
『え?』
『ツラい目にあったなぁ。』
『??』
突然、謝れた一言になんの事だ?と返す言葉に詰まる。
あの明るかった笑顔も瞬時に申し訳ない。と言うような表情に変わってしまい私は困惑しました。
『そろそろ起きないとな。糖尿病は怖ぇから気をつけるんだぞ?』
『起きる?』
そう、最後に言葉をかけられフワッと意識が浮上する感覚で私は目を覚ましました。
友「あれ、起きた」
「あれ?え?」
友「私達もう降りる駅なんだけどさ、起きないから寝過ごさないか心配してたよ。」
友2「起きたならよかった。じゃーね」
そう言ってケラケラ笑うのは今回、推し狩りに一緒に行った友達2人。
おじいちゃんにそろそろ起きないとな。と起こされた時刻は、友達が降りる駅に到着する時刻でした。
それからホワホワと温かい気持ちで家まで帰り。
父に話してみたところ。
父「…。たぶん曾祖父さんだ。」
「そうなの?」
父「曾祖父さんはとっても優しい人だったんだ。お前の言ったようにお父さんにも”学校はどうだ””友達はできたか”ってずーっとニコニコして聞いてくるんだ。それで話しだすと決まって”そうかそうか”って笑うんだよ。」
「そうなんだ」
驚きました。曾祖父さん…。
でも夢でも会えた事は嬉しかったです。
近いご先祖様とお話したという貴重な体験をした日でした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます