第5話心霊写真

その5。


これは忘れもしない。いや、忘れられる訳もない。


高校生の下校の時に起きた話しです。


あの時はめっっちゃ寒い冬の時期でした。


通っていた高校の次の駅で降りて母の迎えを待っていたんです。


「さむぅー。改札出る前にトイレ行こ。」


そそくさと駅のトイレに入って個室の鍵をしめる。


小さいトイレだったから1人分しか個室なくて。


早く出なくちゃな。なんて思ってたら


ーゥう…うぅぅぅ…


女の声。


手を洗う洗面器の前でうずくまってる。


私はうるせぇな。なんて思いながらその女をすり抜け、さっさと手を洗ってさっさと改札を出たんです。


それから約2時間後。


「ぜっっったい忘れられてる!!母ぜっっったい娘の事忘れてるっっっ」


私は寒空の下、母に迎えの約束を忘れられガチガチと駅の階段に座り込んでおりました。。。


ーprrr,prrr


母「あんた何してんの?帰ってこないけど」


「ほらなやっぱり!!分かってたよ娘は!!」


母「はぁ?」


「オカン今日一緒に帰ろって約束してたじゃんっ!!仕事終わったら駅まで迎えいくって言ってたじゃんっ!!!」


母「…あっ!!あーっはっはっはっは!忘れて帰って来ちゃった☆」


「でしょうね!?」


電話口で母から軽い…それはもう発泡スチロールよりも軽いごめんねを言われ、もう夕飯作ってるから父が代わりに迎えに行くよと言われ。


そこから父が迎えにきたのは大体40分経ってから。


私、なかなかの田舎出身なので電車とか1本見送ると30〜1時間は来ないんです。


家から最寄り駅までは歩いて1時間以上かかるし。


だからですね。待ちましたとも。歯をガチガチさせながら。


そして迎えに来た父の車に乗りこみ。


暖房に当たって寒かったーと生還をひしひしと感じてた時


ーうぅ…うぅぅ…うぅ…


後ろからあの女の声がしたんです。


「(ついて来ちゃった?あらぁ〜。)」


父に災難だったな!と爆笑されるわ、後部座席では女の泣き声だわ。


途中寄ったガソリンスタンドでシャッターチャンス!と思ってカシャリと1枚撮りました。


「お!撮れた撮れた!」


父「なにか面白いもんでもいたのか?」


「ほい!画面を横にして…娘が忘れ去られた駅でついてきたであろう女。」


父「おぉ〜。はっきり写ってんな。」


「ね。心霊番組とか出したら高値で買ってくれるかな?」


撮った写真にはトランク部分に写る目だけが見えるデカイ女の顔。酷い顔でコチラを睨んでいました。


「明日友達に見せよーっと。」


でも睨まれても勝手についてきて勝手に睨んでるのは幽霊の方。


私は知らん知らんとその写真を保存し、夕飯の準備が出来てる我が家へ到着したのです。


「こんな可愛い娘を忘れるなんて信じらんないわっ!!ひどいっ」


母「やかましいわバカタレが。ほれ撮った心霊写真見してみ」


「これこれ。勝手についてきて勝手に睨んでる」


母「おぉ〜ハッキリ写ってんな。」


「ね。心霊番組に高値で売ろう」


なんてキャッキャとしながら食べる夕食。


ご飯も食べてそれぞれが好きなように動いてた時、背中側の台所からゾワリとするようないくつもの視線を感じたのです。


「撮れ高。」


ーカシャ!


「…さすがに引くわぁ。」


2回目撮った写真には5人ほどの人と、動物。


真っ先に目に入ったのはその写真の中央に浮かびでた奪衣婆みたいなボサボサの青白い人。真っ直ぐにこっちを見てる。


壁には手が這い出ていて下の方には猫。たぶんこの猫達は亡くなったペットかと。


そんな写真を母に見せ


「お祓いでも頼む?」


と聞いたところ


母「今更?こんなもん塩でもぶつけて追い払っとけ。猫以外」


との事。


それもそうかと納得して翌日友達に2枚の写真を見せました。


友「…君んちはさ、そこらのお化け屋敷より怖いかもね。」


「心霊体験ご希望の方は我が家へどうぞ」


友「いらんわ。てか君いなくちゃここまで体験できないんじゃないの?君の影響でしょ、これ」


「いや、元々家にいるヤツら」


友「でも連れてきたんでしょ?トイレから」


「それは知らん。勝手についてきただけでうちのせいではない。」


友「ほれみぃ。」


と、ふぅ〜と遠い目をされてしまいました。


その写真は大人になってから削除しました。


フォルダ整理してる時に「あ、懐かし〜。」と見つけたので容量確保のためポチッと。


結局心霊番組にも出していません。


以上5つ目でした。

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