第4話弟の部屋
4つ目。
これは実家でのお話。
当時我ら三兄弟は各々部屋を与えられてました。この時はたしか中三か高一くらい。
まぁ私が1番大きな部屋だったんですが。
でも私の弟、自分の部屋に寄り付きたがらなかったんです。
「おやすみー。」
夜、そう家族に声をかけて姉と上がっていく階段。
弟は居間でゴロ寝。
何度かそんな弟に聞いた事があるんです。
「お前なんで部屋あんのに行かねぇの?」
弟「別に。なんかあの部屋嫌なんだよね。」
「ふーん。」
この時私は”もったいねぇ。”くらいにしか思ってませんでした。
たしかに当時から締めっきりで開ける人も中々いない部屋。
私自身、弟の部屋には入りませんでした。
でも私は見てしまった。
「…大名行列!!!!」
母「なんだそれ?」
「弟の部屋、すげぇのよ!!なんあれ!!大人気じゃんっ」
ある日買い物に出かけようと親と外に出た時に”いつもと違う”と感じたんです。
なにが違うのか。上を見上げてちょうど2階正面の弟の部屋を見た時でした。
ゾロゾロ…ゾロゾロ…
すっごい数の人が、弟の部屋を通り抜けて行ってたんです。
マジで凄かった。
顔がやたらデカイ人とかもう色々。
「いや、こりゃあいつも近寄りたくないわ。見えないクセに勘だけはいいなアイツ。」
母「なにバカ言ってんだって。そもそもそれ言うなら百鬼夜行だろ」
「百鬼夜行ではなくない??大名行列も違うけど。なんでバカの部屋だけあんなすり抜けて行くんだろ。留まってはいないね、正面から入って横から皆抜けて行ってる。」
母「いいから行くよ。変なモンばっか見て」
盛大なため息をつかれて弟が自分の部屋に寄り付かない理由に納得した私。
その事を仕事から帰ってきた父に話したところ。
父「あぁ、そう言えば家建てた時に霊能者さんが霊道になってるって言ってたなぁ。」
母「あれ?そうだっけ?」
弟「俺の部屋!?」
「あれは霊道か!なるへそ。」
父「いやぁ〜お父さんは全く見えないから嘘クセくらいにしか思ってなかったけど!本当だったんだな!」
弟「おいどうしてくれんだよねーちゃん!!俺もう部屋行けねぇじゃん!!」
「大丈夫、大丈夫。通過点だし。留まってないし。気づいてないを通せば何もしないよ多分。」
弟「ふざけんなよ!!部屋交換しろよ!!」
「はぁ?ふざけてんの?うるさいからやだよ。てかいいの?こっちの部屋も毎夜毎夜ベランダをギシギシ徘徊するバカ女いるけど。物も飛ぶように落ちるよ。」
弟「はぁぁ?!はぁ…くそ」
結局、弟はふざけんなよとブチ切れて自分の部屋は使いませんでした。
それは実家を巣立った今も。
やっぱりあの部屋、なんか寒いんですよね。
4つ目、以上です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます