第3話夢①

3つ目。


皆さんは御先祖の幽霊は信じますか?


私は会ったことないんですが、一時だけ夢に出てきてた事があるんです。


私の家、結構問題多くてですね。私は祖父母から姉とかなりの差別をされて育ちました。


姉にはお小遣いあげるのは当然。妹、弟はなし。


旅行のお土産買ってきた!→私だけボロボロのインクと埃のついた古いペンケース。


また別の時には、皆お揃いの身代わり地蔵キーホルダー。→私だけ身代わり済み地蔵キーホルダー。(お地蔵さん、悪霊か?ってほどのお顔でした。)


とまぁすごかったんですが。


そんな幼少期だったもので当然、祖父母の家に行きたくないと思うわけです。


そしてそこから蟠りもなくならないまま年月だけが過ぎ、私も中学生。


その夢を初めてみたのはたしかそのくらいだったんです。


『なんだここ?』


夢の中で私は知らない家で寝ていました。


フカフカの布団に入っていて部屋はとても薄暗い。


周りが見えないほどではないが青白い世界で動くこともできず目だけがキョロキョロ動かせた。


『…足?誰?』


なんかおばあちゃん家に似てる構造だなぁなんて呑気な事を考えて。


あ、デカイ壺。と視線を横に移した時でした。


着物を着た白い老人の足だけが私のそばに立っていたのです。


「…起きた。起きた…。」


そこで夢が切れて目覚ましが鳴る。


ボーッとしながら自分の部屋の天井を見るんですが、まだあの知らない家にいる気がして頭の処理が追いつかない。


2度寝でもするか。と目を閉じてもなんかゾワゾワしちゃって寝られなくて。そうこうしてるうちに1階から「朝だぞー!!起きろー!!」という母の大声が聞こえて寝る事は諦めました。


それから数年。


あれからまったくその夢を見なかった私は、その夢の存在も忘れていました。


ですが高校を卒業して1人暮らしをしている時。


『あれ?なんか見覚えある家。』


その夢をまた見始めたんです。


『また薄暗い…てことは。』


いました。あの足。


何かを伝えたいのかなんなのか。


ずっと私の横に立ち続けるんです。


そしてまた、足を確認して目が覚める。


この時はそんな事が3日は続き、お盆前の毎年恒例夢となっていました。


「さすがになぁ。なんかあるよなぁ。まっったく同じだし。…おとんか?」


買い物をして、今日もあの夢見るのかなぁ。なんて考えてブツクサと呟く。


お寺案件か?とも思ったのですが、なぜかふいに”父”と頭の中をよぎったのです。


ーprrr,prr


父「おぉ、どうした電話なんて珍しい」


「いやねぇ、聞きたいことがあってね。カクカクシカジカなんだけどね。」


父「え、ちょっと待て。その部屋と飾ってある壺って…お前からしたら曾祖父さんに当たる人の家の内装だぞ。」


「なるほど、だから父か。」


父「しかもそれ、お父さんが小さい時に改装した前の内装だ。なんで知ってるんだ?」


なんでと言われても。見てきてましたものそりゃね。


なんと私の横に立ってた老人、曾祖父さんでした。あの家も知らないのも当然。


私の父が幼い頃、1度改装してるらしいんです。


しかも私、その家の改装後の現在も入った記憶ないですし。


でもなんで、会ったこともない曾孫の元へ?


父「曾祖父さんはな、孫を平等に可愛がる人だったんだ。」


「へぇー。なぜワイの夢。孫に当たるオトンとこ出るもんじゃないの?」


父「多分だけどなぁ、お前のばあちゃん、曾祖父さんにしたら娘だな。が孫差別をしてるから申し訳なくて出てきたんだろ。」


「なんて優しい。もしかしたら曾祖父さんって分からなかったかもしれないのに。」


そう、もしかしたら分からなかったかもしれないんです。面識ないんだもの。


顔だって知らないし。


でもなんか死んでまで気遣わせてるのもなぁって感じだったんで行ったんです、お墓参り。


そしたらまぁビックリ。


「オトン。曾祖父さんのいるお墓はあのてっぺんの左から3つ目でしょ。」


父「よく覚えてんなぁ、お前が最後にここ来たのよちよち歩きだった時なのに」


「これも夢で見てた。あそこ3つ、うちの墓。」


行った墓地は何回か夢に出てきてた場所でした。


今回の曾祖父さんの夢と合わせてもしかして墓参りにも来て欲しかったのでは?と。


そして曾祖父さんの眠るお墓に


『あの、マジで恨んでもなんでもないんで。本当に毛ほども気にしてないんで。まぁたしかに腹立つ事もあったし絶対許さんとか思ったけど。今そんな事思ってないんで。夢に出てこないで大丈夫ですマジで。』


と拝み倒してきました。


そこからその夢はみてません。


曾祖父さんもあの世で笑っててくれればなと思います。

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