第10話

そんで、なに。まだ見てる、見過ぎじゃない?

え、何か顔についてる?


不安に思って無意識に顔をペタペタと触ったとき。





「ねえ、俺君のこと好きになった!」




会って初めて口を開いたかと思えば、いきなり。




一番離れたところにいたのに、その男はズンズンとこっちに近付いてきて、前から両肩を掴まれそうになるのを、さっとかわした。





「いや私は好きじゃない」


「何で!俺のアレ、おっきいよ!」


「は?きもいこわい喋りかけないで」





え、怖いんだけど。


俺のアレ、って男のアレのことだよね。

おっきいとか、どうだっていいし。





「ギャハハハハ、一果サイッコーだなお前」


「ウケる、透子求愛されてんの!」





この場に草を生やす、金髪と蜜は放っておいて。


鼻息を荒くして近付いてくるその男から必死で逃げる。

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