4・提灯の都編
[七月になったぞよ、
しみじみとそう口にしたのは、テイネイ草のネイ。
「いつの間に夏かぁ…あんま暑さ感じないね」
「リーヨウたん可愛い!」
「暑さ以前に、そもそも碌にカレンダー見ないだろ。」
リーヨウは会議机に突っ伏している。
部屋に対して、無駄に大きいこの机…四人しか座らないのに。
「カレンダーねぇ…ん?」
アディルが、クリップで封筒が挟まっているのに気付く。
「何だろ――あれ、この送り主」
「「「プロジェクト・Lからの手紙…!!!」
霙がシャッ!と封を切ると、
『どうもーボスの置き手紙です♪
順番でまず言いたいのは
我々の口座から!ガス水道光熱費!払ってんだから感謝してほしいね!
きっと最低限生活できるし、あとは自分でなんとかしなさーい
それよりだよ。
この前、科学組織へんかがすって所に潜入してさ。
調べたらちょっとヤバめの裏取引の疑いがあって。
別途今から言う場所に行って、取引の決定的な証拠を押さえて欲しい。
プロジェクト・Lより☆』
という内容。リーヨウの為に読み上げてあげると、
「なんか、♪とか☆とかがイラつくわ……」
「ボスからの指令らしい指令は初めてじゃない⁉」
「いつの間に手紙とか置いてったんだ」
なんていう感想。
[しかしだ。肝心の"今から言う場所"が無いぞよ]
ネイの冷静な発言に、全員がハッとする。
「…待って、この文章平仮名にしてみる!」
苣が疑り深い目で便箋を見て、閃いた。
コピー用紙にシャシャっと書いたのは、
「やっぱり‼縦読みだよ、古典的なやつ!!」
「…?ごめん、俺分からん」
「オレもだ」
「ボク字読めない」
そういえば、四人で頭が良いのは苣だけだった。
「もう!リーヨウたん可愛いね⁉
解説すると、頭文字を取って読むんだよ。『プロジェクト・L』に関しては『ロ』を
読む。そうすると…」
「——『どじゅわき底調べロ』⁉」
「『ど』は行が違うよアディル…。受話器を調べろ、って言われてるの」
苣が頑張って説明すると、
「受話器受話器…底になんかある!」
[リーヨウ、では内容を]
「分かんない…たすけて~~!」
「リーヨウたんに頼られるの嬉しい…ふふふ……」
「貸して。俺も字は読めるから」
顔をニヤつかせる苣をよそに、リーヨウから紙を受け取るルー。
「『
観光地で有名な良いところだよぉ?プロジェクト・Lより』だって。」
「やっぱ腹立つ…まどろっこしい指示の出し方しやがって」
「でも行き先は決まったね!」
「大丈夫そうならすぐ出発しよう。浦天満へ!」
〇ー♢ー〇ー♢ー〇ー♢ー〇
「観光地とは聞いてたけど…すっごい賑やか~!」「イーユイたんかわいいっ」
街の中は屋台や出店が多く、音楽や太鼓などで陽気な雰囲気を纏っている。
「この後に祭り?ってのがあるらしい。」
「はは、祭りか~…俺は見当も付かないな」
[あたくしの知る祭りとは食物や踊り、催物などが行われ
最後には花火があがるぞよ]
「はなびっ⁉」
ネイの解説に、目を輝かせるリーヨウ。
「ボクの村の花火は、手で持ってわーっ!って燃やすの!楽しかったなぁ」
「…大丈夫?そんな危険な催し物」
[体験してみれば良いであろう。]
四人と一輪は、本来の目的も忘れて、大いに
〇ー♢ー〇ー♢ー〇ー♢ー〇
「んっ…しょ、よ…いっ……しょ!!」
何段にも積み重なった段ボール箱が、今にも落ちそうにぐらぐら揺れる。
「…先輩、ほんとにそれ一人で運ぶんスか?」
後輩であるカイナが、不安そうに訊ねる。
「…ぜぇ……はぁ……ああ。そうだ」
息を切らしながら先輩のツツミは答える。
「手伝いますよ?力仕事は得意っスから」
「いい。後輩に助けられたら先輩の威厳が…うわっ⁉」
ツツミは派手に転んで箱を落としてしまう。
「~~~っ…」
「やっぱ運びますって。先輩は背がちっちゃくて非力なんですから」
カイナは重そうな箱から拾って、自分の分の箱の上に乗せる。
「女性に無理させたらダメ、だろ?」
「先輩も女だっていうのにそれ言います?それに男であっても無理は駄目っす」
〇ー♢ー〇ー♢ー〇ー♢ー〇
街の空はすっかり黒く染まって、一番星が出始めた。
「そろそろじゃない⁉そろそろじゃない⁉」
「わくわくリーヨウたんも可愛い!」
「空、見上げてればいいのか?」
[如何にも。花火は上空に華やぐ]
「大丈夫かなぁ…」
待ちわびる団員たちの耳に、ひゅるるる…という音が届く。
ドーン!!
「——…!」
身体の芯に響くくらい、大きな音。これには四人とも驚きを隠せない。
ドーン!パラパラパラ…
「———でっかい」
「ね!リーヨウたん見た⁉今の!!」
「全員見えてるっての。…すげぇなこれ」
「キレイ……」
リーヨウ以外の三人はいい歳して花火に見入っている。
その様子に、ネイは嬉しそうに頷く。
「…ボクの集落では、手で持てるくらい小さかった。
こんなに大きな花火だったんだ……!」
ドンドンと続く花火に、手を伸ばすリーヨウ。
「あはは、これは初めてだ~!」
こちらは年相応に、花火を楽しんでいる。
…まぁ、この輝く光の花を前にすれば、年齢は関係ないか。
最後の花を見届け、高台を降りていく四人と1輪。
[あたくし、御前たちと見納めでき満足ぞよ]
「それは良かった!俺も楽しかったなー」
坂道を飾る古い造りの建物と、ちょうちんの灯り――
ドンッ
四人とすれ違った女性は、リーヨウにぶつかった拍子に箱を落としてしまった。
「わぁああっ」
「大丈夫?」
「あ…どうも、失礼」
「先輩、早く行かないと出港時間になっちゃいますよ」
カイナが慌ててツツミを急かす。
「出港…?」
苣は何か気づいた様子で、それを察したリーヨウすかさずが訊く。
「何のお仕事されている方なんですか?」
「あーえっと、取引先に製品を届ける仕事っス」
「取引先へ向かう船に乗り遅れないよう
港に行かなければならないんだ」
この台詞で四人とも、ルドの手紙を思い出す。
「そう…なんですね」
「じゃ、急ぐんで」
荷物を拾い終えて去っていく二人。
坂を下りていく時に、「何度も落として、薬品とか壊れてないっスかね」「問題ない」
という会話が聞こえた。薬品、という言葉が気がかりで立ち止まる。
はッ、振り向いた霙は
「ルー!!」
とっさにルーの盾になるよう立ちふさがった。
「っ…………!!!」
直撃して、後ろに下がる霙。
(あれ、この感覚……何でかな、知ってる。ボクの為、誰かが、だれか、が………)
霙がカイナの拳を食らった瞬間、一斉に何かを思い出したリーヨウ。
「!!?霙っ!!大丈夫⁉」
アディルは形相を変え、霙は二人を睨み付ける。
「言っておくけど……気づいた方が悪いんだからな」
「口封じしなければ、上に怒られるんで。
死んでいただきたいっス」
カイナに続いて、ツツミも戦闘態勢に入る。
「あーあ、戦闘は、嫌、なんだけど、な…」
「霙…?」
つたない喋り方で、姿勢を低くし腰の刀を構える霙。
「いやっもう下がってろーーーーーーーーー!!!」
刀を抜いて戦おうとする姿に耐えられなかったルー。
味方に突き飛ばされ、建物に身体を打ち付ける霙!流石にワタシも同情する。
「ルーあいつ…絶対許さねぇ……」
必死に瀕死で訴えかけるその姿は、いつもの彼だった。
[霙、アディルは御前が心配なのだ]
「……そーかよ」
着物の懐から聞こえるネイの言葉に、力を抜く霙。
「霙、自分から攻撃を食らいに…
アディルが危なそうで庇ったのかな?」「……!!」
苣の一言に、過剰に反応するリーヨウ。
「これでも食らえ。」
「リーヨウたん危ない――」
水の大砲に狙われていても、逃げることができない状態の
リーヨウを守る苣。
「痛ぁっ!!!威力高っ…!」
代わりに受けてくれて、痛がる苣を見て
リーヨウは何かが琴線に触れるのが分かった。
(そうだ…ボクをかばって先に死んだ、ボクの姉……!
なんで、姉貴のこと、忘れてたんだろう)
死の記憶が部分的に戻ったショックで、リーヨウに周りの声や景色は届かない。
そんな中、声を低くし怒りをあらわにするルー。
「俺は今ちょっと…大丈夫じゃないな……
仲間が傷つけられるのは許せないから!!!
【
アディルは味方ですら怯むような声で叫んだ。
しかしツツミは水大砲で相殺する。どこから出したのか、水入りタンクを傍らに。
「丸腰のそちらの方が不利なのにいいのか?」
ツツミの攻撃は苣に当たった。
「待って、マジで死にそう…!痛い!」
その様子を見て、ルーは心配そうな表情に変わる。
「そっちこそ担々団体を甘く見積もって大丈夫か⁈
【
なんと。地面を伝い、遠隔でカイナを狙った。効果てきめん!
「いっ……!!!」
「カイナ!!」
腹部に
「……すみません先輩、少し…動けなさそうです」
「っ…申し訳ない」
「先輩、ここから…応援、してますっス」
ツツミにだけ聞こえる小さな声で、そう囁いた。
ツツミは立ち上がると、アディルに向き直る。
「…後輩の応援で、やる気が出た。
さっさと終わらせる」
「俺もさっさと倒れてほしいね。霙を瀕死にさせた奴は」
聞き捨てならない発言に、霙は反論。
「オレは…!お前にトドメ刺されたからな…!💢」
[今は休むといいぞよ、霙]
「私の【
刃よりするどい葉の嵐がツツミを襲う!
「ぐはっ!!!」「あ、意外と倒せた…ごめん【
「ナイス苣!」
いつもの調子に戻り、グットサインを出すアディル。
「先輩、有言無実行っスね」
「……っ…うるさい」
うなだれるツツミと呆れるカイナを放置して、
「霙!何やってんのほんと!」
ルーはぐったりする霙に駆け寄り、肩を掴んで激しくゆすった。
「俺をかばう為とはいえ、
パンチグローブ相手に飛び出すのはバカだよ!ばか!」
「いってぇ………!!!」
[オーバーキルをするでない、アディル」
余りにも強く揺らされたみたく、ぎゅっと目をつむる。
そんな霙の顔を見て、アディルは真剣な顔で言う。
「…大丈夫だった?心配したんだよ?」
「っ……!!大丈夫だよっ!」
激しくも優しく心配され、慣れない好意に頬を染める霙。
「私もリーヨウたんに心配された~い!」
苣はそう言って、リーヨウの方を振り返った。
「…………実に面白い戦いだったよ、低民共」
こちらをいやらしい目つきで見つめながら、微笑みかけるリーヨウ。
「…………は?」
「やぁ、やはり高みの見物は心地がよいねぇ…♡」
いつもと全く別人に豹変したリーヨウに混乱する三人。
「ちょ、どうしたの?リーヨウたん?」
「低民……?」
身分を示す言葉に、顔を曇らすアディル。
「う…っ」
霙は意識が消えかけているみたい。建物に全身を打ち付けてるなら当然だ。
「ああ!ごめん!大丈夫…ではないよね、
一旦宿戻ろう!」
〇ー♢ー〇ー♢ー〇ー♢ー〇
夕飯で少し回復した霙が、口を開く。
「あいつ、ついに中二病に目覚めたか?
高みの見物とか言い出して…」
「いやいや、もっと重い感じだって!
絶対大丈夫じゃないよ」
「いつものリーヨウたんの方が可愛い…」
まだ食べているリーヨウを背に、三人はひそひそ話しだした。
そこへ、リーヨウが箸を止めて笑いかける。
「はは、ボクのように高い身分の人間は、
何をやっても咎められないのさ!」
そう言って、食事中の机に乗り出す。その様子に、誰もが動揺する。
「ほら、こんなことも!」
イーユイは壁を指さすと、
「【
と叫ぶ!その瞬間、壁に炎の光線が飛ぶ。
火、ではない。炎。普段のリーヨウとは桁違いの威力だ。
「はぁ!?ちょっ、バカかお前っ!!」
「―――っ!!」
とっさにルーが覆い被さり、火事にならずにすんだが…
「…………なに、やってんの?」
焦った表情をし、息を切らしながら問いかける。
「なにって何?ボクが悪いことしたと言うのか?」
「何でこんなことしたのかって聞いてるんだよっ……!!」
リーヨウは火事を起こそうとしたというのにもかかわらず、
全く悪びれる様子が無い。
「理由なんて簡単だよ、カオスが欲しいんだ。
この町一つを混乱させられるほどのカオスが。ねぇ?」
リーヨウが口元に手を添えてうっとりとした表情を見せる。
「リーヨウたんそれはやり過ぎ――」
「あのなぁ………!」
声を低くして、怒りをあらわにするルーに嫌な予感がして、
霙は争いが起こることを恐れる。
「…じゃいいよ。好きに行っておいで。
ほら、宿の入口はそっちだよ?」
「感謝するよ低民A。頭が弱い割に物分かりがよい」
苣は落ち着き払ったルーに対し、『何をする気?』といったような視線を向ける。
「そのかわり、俺とのバトルに勝ってから行ってね」
「おぉ!戦闘を自ら仕掛けてくるとは予想外だよ。
いいじゃないか。戦ろう戦ろう」
ほらやっぱり
「待てって、怪我したらどうすんだ。やめろや。
ルーお前、もっと他のやり方で止めてくれよ…」
「黙っていろ低民B。全く、カオスの良さを分かって無い奴はすぐ
戦いを避けようとする。」
「は?…リーヨウ、お前どうした?」
霙はかなり心配している。
「じゃ、どう殺そうかなぁ…
火あぶり?それだけじゃつまんないし、大火事にしちゃう?」
にやけながら呟くリーヨウに、アディルは笑いをこぼす。
「はっ、別にかまわないけど、その程度だと負けちゃうよ?」
「…………ボクが負けるって?」
煽りにすぐ乗ってくれたリーヨウ。
「だって、まず火を土で防げる俺の方が有利だし、
耐久力も勝ってるよね。
それに、そもそも火力負けしてるし…」
「うっ……いや、そんなことないし!」
リーヨウは痛いところをつかれた顔をする。
しかし負けじと、言い返した。
「そんなことは戦わないと分からないもんっ!
ボクみたいな高い身分のが強いに決まってる!!」
「へぇ~……高い身分。
大層な発言だね。」
アディルは落ち着いた、いつもの声で言う。
「くらえっ!【
「【
打ち合いになり、お互いの攻撃はぶつかり合った。
しかし――――
「……ルーのが有利なんだろ。少しは手加減してやれや…」
「リーヨウたん可哀想…」
リーヨウは、床に倒れてぐるぐる目を回す。
「あっ……ごめん。
つい怒って本気だしちゃった。」
ルーは反省した様子。
「リーヨウ。…いや、今日はちょっと
一つ教えてあげよう」
気を失っているリーヨウを見下しながら話しかけた。
「……人間に上も下もないんだよ。
身分なんて関係ない。」
〇ー♢ー〇ー♢ー〇ー♢ー〇
「――――――っ!!!」
(呼吸が苦しい。頭が痛い。)
「あ、リーヨウたん起きた!気分はどう?」
「大丈夫じゃない顔色してるよ?」
「こいつ寝てる間にうなされてた。多分悪い夢とか見たんだよ。」
意識がはっきりしてきて、リーヨウは叫んだ。
「どうしよう…!!ボクの、ボクのせいで姉貴が死んじゃった………!
ボクをかばって盾になったから…………」
「は……?どうしたんだ突然。」
訳の分からないことを言うリーヨウに驚く。
「夢で、何か見たの?」
ルーは心配そうに声をかける。
「折角助けてもらった、のに、後ろから殴られて、死んじゃうし、
ボクは姉貴にっ…守られてっ……!!」
混乱するリーヨウを、そっと撫でるルー。
「うん、しっかり呼吸して。ゆっくり話そうね。
落ち着いて。大丈夫。大丈夫だよ。」
ルーは優しく言い聞かせる。
リーヨウは涙目になり、
「うぅ………うあぁ~~~~~…………っく
うあぁ~~~~んっ………」
大声で子供のように泣き出してしまう。
「うあぁ~~ん、ひっく………ボクだってぇっ…
死にたくなかったんだよぉっ…ひっく
でも、…でもボクは姉貴より背も小さくて、弱かったからっ……
うううううあぁ~~」
「だ、大丈夫だから落ち着いて!
ほら、二人も慰めて!」
「うあぁ~~~~ん……」
困った顔で、ただ呆然と立っていた二人に助けを求める。
「リ、リーヨウたん泣かないで!
あ、でも泣いてる顔も可愛い!
やっぱり
苣がそう言うと、リーヨウは笑顔を見せた。
「…それっ、途中からなぐさめてないじゃん!!あはは!!」
涙を拭いながらつっこむリーヨウに
ほっ、と溜息をつく。
「なぁ、今オレ考えたんだけど。」
今まで考え込んでいた霙が口を開く。
「いや、霙もリーヨウ慰め大会に参加してよ」
「んだその大会…それより
昨日戦った二人組は結局、何だ。
それとも違法取引とは関係ない、ただの荷物運びだったのか?」
「……たしかに!!」
リーヨウは、元気よく同意する苣を見て思わず吹き出してしまった。
[…御前たちは、違法に薬品を取り扱う証拠を探しておる。
とすると、二人は既に取引先ぞよ]
「!そういや『出航時間』とかなんとか言ってた!」
「とにかく港の方行ってみよ!」
〇ー♢ー〇ー♢ー〇ー♢ー〇
四人が海の見える地に急いで足を運んでいる、そのとき。
てんてててんてててんてんてん♪
誰かのスマホから着信音がなった。
「ボクのスマホだ。…あれ、非通知?」
「どうせ、セールスかなんかだろ。切っとけ。」
「はい、もしもし?」「切れや………」
電話に出てみると、何やら少年の声がした。
『よぉ部下ども!仕事してるかな?』
「待って、この声って…」
リーヨウは声を聞いた途端、目を丸くして驚いた。
「ボス⁉」
「「ええ⁉」「は⁉」
他三人はさらに驚く。
『今どこにいんの?』
「私達ボスの指示で浦天満いるんですけど!
無責任だな、全く……」
『まぁいいや、それよりリーヨウ、お前に頼みたいこと
あるんだけどいい?』
「え、ボク?」
『そう。付喪神憑きに頼み事。
そっちの港に、出航前の船いっぱいあるでしょ?』
四人と1輪の視線は自然と船の方へ集まる。
『それ全部、火ぃつけて燃やしてこい。』
「オッケー任せろ!!」
聞くが早いが、リーヨウは堤防を飛び越えて商船へダッシュ。
「そぉれ、【
「………ボス、マジで焼き払っていいんすか?」
『うん。おれたちはおれたちで色々調査してたけど、
浦天満の港を使って違法取引してた事が確定したからさ。』
「にしたって容赦ないなぁ…」
遠くで、
「【
見たまえ!なかなか美しい光景だろう?」
と楽しそうに叫ぶリーヨウの声。
「ま、リーヨウが大丈夫でよかったよ……」
リーヨウが満面の笑みで戻ってくる頃には、
辺りは焼け焦げていた。
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