きたる時間

作戦から約六時間後、SWATが突入した工場に警察車両が複数台集まっている。

中にはSWATの装甲車両や工場内に落ちているSWAT隊員の死体を調べている鑑識も見えた。


「やはり逃げられていたようだな…ほとんどの資料が綺麗さっぱり無くなっている」

現場に視察に来たこの警察署の署長、

ブラックは顔を顰めた。

このテロ組織によって十数年前に旅行中に妻を失い、その時にいた娘も現在昏睡状態に陥っている。

その執念でなんとかテロリストの居場所を突き止めたのだが、相手が悪かった。

SWATの隊員は全員射殺され、死体は消えていなかったものの証拠物品や輸入記録、あげく弾薬製造機などの機器もすべて

回収されていたのだ。


そんな中、一人の鑑識が彼を呼んだ。

「署長、装甲車の中にあった2つの死体のうち、1つの回収袋の中にこんな文書が…」

すぐさま回収袋を取り出し、

中身を読む。

「…奴ら、今度は街1つごと占拠しようとしてるのか!?」

その内容は、隊員がひっそりと奪われないように回収していたデトロイト襲撃計画の内容書だった。


一方、警察署。

S.W.A.T.の部署がある部屋の中央に、各隊員の写真が飾られている。その写真はすべて今回の作戦で殉職したもの達の顔だった。

今回出動するメンバーに入れていなかったS.W.A.Tチームのメンバーは、殉職したS.W.A.T.のメンバーを現在いるメンバーで弔っている。

出動するメンバーに入っていなかったのはS.W.A.T.部署20名のうち

10名、それから今回殉職した彼らを弔っていたのは現在警察署に駐在している

6名だった。


椅子に乗っかり一人悲しむように酒を飲んでいた男が口を開く。

「...まさか、奇襲によって死んじまうなんてな...どうせなら今度一杯高い酒をおごってやりたかったよ。あいつは酒に強かったからな。」


「酒の話か...そういえばお前、酒飲むと毎回暴れてただろ。店の修理代は毎回俺が出してんだぞ!?その分返せよ!」


「落ち着け。今にそんな話してたら死んだ仲間に目が合わせられない。今回のことで いるということが分かったんだ。だから、次見つけたら確実に叩く。いいな?二人とも。」言い争いをしていた男たちを止めたのはS.W.A.T.部署の副部長、アンバーだった。彼も作戦に出動しようとしたのだが、そこを部長であるであるワースに止められ、今ではそれが良かったのかもしれないが結局部長が死んでしまった。

彼にとっても、それが悔しいのだろう。だが、今暴れても過去は変えられないことは

分かっている。


副所長に宥められ熱が冷めたような二人。

酒を飲んでいたハットは酒瓶をしまい、彼に請求書を出していたアウルも

その手をひっこめた。

その他、

彼らの様子を見ていた三人も何か考えている。


すると、そこに急な電話が掛かってきた。

「...はい」

アンバーが受話器を取ると、その先から声が聞こえてきた。

ブラック所長の声だ。


「お前ら、仲間は死んだことは悲しかったろう。だが、それを打破できる一つの

手がかりを見つけてな。どうやら、奴らはでかい事を起こしに来るそうだ。

急では悪いが、おそらく近々お前らも呼び出すことになるだろう。


デトロイトが沈むぞ。」



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