第2話 八景高校1年生徒会

俺、香澄葉月かすみはづきはテスト成績は平均、顔は母さんがスウェーデン人だから少し特徴的だが、平均くらいだと思う。

妹のわがままで生徒会に入ることにはなったが、俺には荷が重いと思っている。

そんな俺は今、放課後ということで生徒会の作業をすべく生徒会室に訪れている。


「失礼します、香澄伊織、参上しました」


そう言いながら入ると、生徒会室には2人の少年と少女がいた。


「寄りにもよっているのがお前らかよ⋯⋯」

「酷いなぁお兄ちゃん、あーあ、私傷ついちゃったなー」

「全くです、人の顔を見て開口一番にそれは少し酷いのでは?兄さん」


いたのは年子の妹で八景高校生徒会会計である香澄詞葉ことは(お兄ちゃん呼びの方)とその双子の弟にして八景高校生徒会庶務である香澄詩葉かすみうたは(兄さん呼びの方)だった。


「はいはい、悪かった悪かった」

「誠意ゼロパーですね⋯⋯」

「見て見て詩、お兄ちゃん、さっきそこででっかいバッタ捕まえてきた!」

「おぉ、これはシュクリョウバッタですね」

「そんなもの生徒会室に持ってくるんじゃありません!」


その時、生徒会室のドアが開き、天崎涼葉が入ってきた。


「賑やかですが⋯⋯何かあったのですか?」

「涼葉ちゃん見て見て、バッタ!」

「小学生かよ⋯⋯」

「あら、可愛いですね」

「でしょー?」

「天崎さんも少しは注意してくれませんかねぇ!?」


八景高校の生徒会1年生はこれで全員だが、全員個性的すぎて生徒会室はいつもカオスとなっている。


「ほら、早く帰るためにもちゃっちゃと仕事終わらせるぞお前ら」

「そうですね、早く終わらせましょうか」

「ああ、もう既に疲れてきたから早く帰るぞ」

「じゃ、バッタさんじゃあねー」

「生徒会室に離すんじゃねぇ!」


そうして数十分ほど作業をしていると、伊織はあることに気づいた。


「そういや、2年の先輩達はどこ行ったんだ?」

「先輩方なら、課外実習で今日は来れないようですよ、キリがいい所で帰っていいぞ、と言われています」

「そっか、じゃあ今やってるのが終わったら帰るか」

「じゃ、爆速で終わらせるぞー!詩、どっちが多く終わらせられるか勝負ね!」

「いいですね、何を掛けますか?」

「人生、とか?」

「んなもん掛けんな!」


◆◆◆


「⋯⋯皆さん、忘れ物はないですか?」

「大丈夫だよー」


10分ほどで仕事が終わり、全員生徒会室を出る。


「涼葉ちゃん電車通だよね?私たち歩きで帰るけど途中に駅通るから駅まで送ったげるよー!お兄ちゃんが」

「おいサラッと俺に押し付けんな」

「あら、ではお願いしてもよろしいでしょうか?」

「えぇ⋯⋯てか俺たち全員帰り道一緒だからお前ら着いてくるだろ」

「2人っきりがいいって言うなら遠くからこっそり見守るだけに抑えてあげるけど」

「どっちにしても着いてくるんじゃねぇか⋯⋯」


そう騒ぎながら、結局きょうだい3人で天崎さんを駅まで見送るのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る