第三章-4(終)「機能不全家族で生まれた私より」
エッセイというのは、ある一種の自傷行為か自虐ネタに過ぎないのかも知れない。こういうのを簡単に書きたいのであれば、日記でもコラムか何かで全然良いのだから、こんな公開処刑みたいな事を自らしなくても本当は良いのだが。
こんな、他人の人生なんて恋人や家族以外はどうでもいい情報であって、「あ、そう。で?」と思うのがオチなので、そりゃあ、路上ライブが中々集まらない訳である。
「じゃあ見なければいいじゃん。」と、堂々と言ってみたいものだが、「まぁまぁ、退屈はさせませんから。何飲みますか?日本酒?それとも焼酎?リキュール?ビールですか?一緒に寛ぎましょうよ。このイヤホンの様に絡まって解けなくなった世の中を語りましょうよ。」と、私は君達にそう誘うだろう。で無ければ、これをわざわざ公開している意味が無くなってしまうから。私に友達という概念は昔に存在していたが、色々あって、結局友達という概念が一切不要になってしまったのだから仕方が無い。という訳だから、暫く私の面倒で複雑で気色の悪い話を聞いて行ってはくれないだろうか。
*
歳を重ねるごとに、身体と精神の症状が悪化しているのと同時に、吹っ切れてしまったのか逆に落ち着いてきているとも言える。ただ、最近自覚している事は、このまま放置したら認知症になりそうな、そんな様な感覚に襲われている。どの道、脳の全ての機能がゆっくり低下していっているだろうから、長寿を今から目指すのは諦めた方が良さそうだ。いくら健康に気を遣った食事をしていても、誰もが言う日光浴をしても、歩いたりなどの運動をしたとしても、自分で言うのもあれなのだが、どうやら人間には本当に限界があるらしい。
訳あって、婦人科以外の受診はしていないし服用もしていないので、そりゃあ、認知力や記憶力などは低下していくに決まっている。そもそも、私は副作用で色々な症状が出てしまい合併を引き起こし、更には、数日間声が出せないなどと言った最悪な状況にまで至っている。
服用していない今でも、診断されていない症状が現れ始めている。これで精神疾患はいくつ目になるのだろう。どの疾患も全てにおいて、然程重たくは無く、それはそれで厄介なのだが、これにまた追加されてしまったのは、自分では「回避性パーソナリティ障害」だと思っている。人間関係リセット症候群がある意味これに値するのかも知れないが、私は、外出を最初の一時間ほど身体が拒む。出かけてしまえば、大した事無いのだが、やはり適応障害のような症状が出てしまって嫌になる。その前に、現実でもネットでも裏切られたりした過去を持っているので、人間という存在が嫌になってしまった。また、PTSDでもあるので、その場所で嫌な事があったのを頭の中で思い出してしまって、意識がぼんやりとしてしまう事が多い。最近は、あの頃休学していた時と同じように人酔いをしたり、挙動不審になってしまう。嗚呼、結局薬を飲んでいても飲まなくても同じ事の繰り返しのだと思うと、更に世の中に対する不満が出てきてしまう。
私は反出生主義では無いが、少子化だとか騒いでいるのは無駄であって、何故、子供を女性全員が産まないかわかるだろうか。出産というのは、時として母子共に命に関わる。この国は基本的に、母体に何か無い限りは自然分娩である。何十時間も、日が暮れてしまう事だってあるだろう。あの痛みに波がある陣痛と、産道や内臓などが圧迫されて泣き叫ぶのは当然の話。そんな男性が経験しない痛みを乗り越えて、頑張って出産するはいいものの、最初は健康だと聞かされていたはずが、生まれてきてから何か病気を持ってしまっただとか、すぐに死んでしまったとか色々ある訳で、それらの苦しみを聞いた上で、「あなたは産めますか。育てられますか。」と、最終的には世の中から問いただされる。赤ん坊というのは泣くのが仕事であり、離乳するまで、母親の乳かミルクで育つ。それまで何が大変か、深夜に泣いて起きてしまったり、日中、何で泣いているのかわからなかったりするのが、夫婦共に追いやられてしまうのが大変である。人によれば産後うつというものを経験して、そこから育児放棄などに繋がってしまうので、だから出産という概念が、今の世代には苦痛なのだ。そして、多様性などを重視した今、更に子供が出来なくなっていく。「産む自由」と「結ばれる自由」の二つがあり、私のように、精神疾患という言葉が広まってきたのは、本当に最近の話であって、こういう障害児が生まれてしまったらと思うと耐えられない人が増えている。正直、それは本当の重度の障害児である場合の話であって、私のように、よくわからない境界線にいる人は、やはり皆からするとお荷物になるのだろうか。
〈第三章-終〉
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