第一章-4「世界は鬱くしい」

 子供が楽しそうにしている様子、同い歳くらいの人達が笑っている様子、どれもこれも吐き気がする約一年間を過ごしたと思う。


 高校は義務教育では無い。しかし、世の中的には高校まで行っていないと笑われる始末。そして、場合によっては大学や専門学校に行っていないと認められない。そうか、世の中がもうカースト制度だったのだと知る。私は、社会のお荷物であり一番下の下層。こんな、何をしても成功しない、満足しない人生に疲れ果ててしまったので、二十歳になったら死のうと決意した。

 この時はまだ、幼い頃から絶えないこの夫婦喧嘩などに悩まされていたので、どちらにせよ、家も居心地の良い場所とは言えなかった。家は普通、帰りたくなる場所なのに、"帰りたくない"気持ちがずっとあった。帰り道なんかに、「車に轢かれて死んだらどうなるのか。」「このまま森林の奥深くへ足を運んで消息を経ってしまおうか。」とか、自害する方法まで検索する日々を送っていた。雑音が入ってこないように、ヘッドホン内に流れる曲の音量は、それなりに大きく、耳を壊すのでは無いかと思われる大きさだったと思う。

 外出は酷く嫌った。せめて、若者がいない平日の昼間や、テスト期間ならば夜にそうは出かけないはずなので、車を出してもらって、少し行った先にあるタリーズコーヒーへ行ったりだとか。

 とにかく、私は人の笑い声などに酷く敏感になっており、若者を見た瞬間、本当に気分が悪くなってしまい、殺意しか覚えなかった。私のような弱者を放っておいて、あんなに楽しそうにしているのが許さなかった。今でも正直許せない。殺されてしまった人が家族の元に帰らないのと同じように、私もあの日から記憶も何もかも時が止まっている。私の自我も魂も、きっとその場所にある。この感情は、果たして正しい感情なのだろうか。それとも、私がまだ未熟だから直さないといけないのか。殺意は誰にだってあるはずだが、けれど、人を殺したら、復讐したらいけないと法律で定められているから、多分、私はいくらこうやって文に書き起こしたとしても、自分の中で解決はしないし、死んでも一生モヤモヤしたままなのだろう。


 何故、何故なのだろう。どうして、どうして人を殺してはいけないのだろう。ねぇ、どうして?どうしてなのですか、これを定めた人、何故?復讐をしたいと思わないのですか?何故、そういう人達に限って幸せそうなんですか?

 趣味、好きな音楽、好きな事、何をしてもつまらない!

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