第一章-3「世界は鬱くしい」
正直、中卒でもいいじゃないかと過去の自分に言ってやりたかったが、当時の私は、専門学校までが人生のセットだったので、誰に何を言われても「行く」と答えてしまうだろう。何故なら、将来をまだ諦めていなかったからである。そして、まだその時は自分が普通の人間だと思い込んでいたから、人並みに通えるし、勉強もそれなりに出来るし、そんなに不自由を感じていない時期だったから。まだこの時、精神疾患という存在を知らなかったので、私がその当事者だとも思わず、ただ、いじめられやすい人生だと思っていた。
きっと、一ヶ月も通っていないあの地獄のような全日制高校に、最初は少しでも希望と期待を胸に受験して合格し、担任からも家族からも、個人としては通信制が第一希望だったのだが、周りが何故か反対というよりも、全日制に慣れておいた方がいいみたいな事を言ってきたので、仕方が無くという部分もあった。
何故か、その高校は部活と委員会を強制的に入らされて、私の夢だった帰宅部という選択肢が出来なかった。また、クラスの雰囲気的に、高校一年生にも関わらず学級の副委員長をやる羽目となった。けど、ほとんどもう一人に任せていた。理由は、私がクラスのほぼ全員にいじめられていたというのと、担任は味方を一切してくれず、私はきっと、あの最後の登校日に熱を出して早退したのは、ストレスから来る熱だったのでは無いかと思われる。今でも覚えている。辛くて耐えられないのに、担任が放った言葉は「もう少し頑張ってみないか。」と。
部活は、友達だった一人が「みんなで軽音楽部に入らないか。」と誘ったのがきっかけである。ただ決めて入ったというよりも、ほぼ全員、楽器を触った事があるからである。私は親父の影響で、小学三年生の頃にとある楽器屋の店内でドラムを習いに行っていた。家では親父に教わってを繰り返し、小学五年の頃には、アコースティックギターを買った。初心者用で、安めのギターではあるものの、ドラムよりギターの方が練習した回数は長い方だと思う。アコースティックギターは、エレキギターの弦より少し太めで硬い。指の腹で抑えると、慣れるまではジンジンと来る痛みや、皮が剥けたりと、ギターをやっている人なら共感する苦労がある。
けど、私は一部の先輩達が嫌いだった。
真面目に練習している様子が伺えないからだ。
やはり、"部活"でしか見ていない、ただのお遊びである。
あの雰囲気が嫌で、また、私の学年内でも仲間割れした事も重なって、私の精神はまた更に異常をきたして、顧問が、私の事情をよく知っていたから、部活を辞退する話はスムーズに進んだ。
多分、それからだろう。私の体が一日持たなくなってしまったのは。
学校は午前中でしかいられなくて、誰よりも早く帰るのを繰り返していた。
まだ、学生誰一人も乗っていない電車で帰って、学校の最寄駅にある自販機はいつも決まって缶に入ったミルクティーで、最後の日、駅員さんには「今日は一段と早いんだね、どうしたの。体調悪いの?」と、私に声をかけた。私は、素直に答えずに「体調不良で・・・・・・。」と、苦笑した。
あの日、あの友達は抱きしめて一緒に泣いてくれた。
「辛かったね、ウチらはズッ友だからね!」と。
あの子は、心の底から優しくて味方をしてくれた。
学年の委員長(その子の友達)を呼んでくれて、その委員長とも仲良くなった。昼休み、相談にも乗ってくれたりした。
なのに、今の私は、全員【敵】にしか見えない。
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