われたかし

 我高しとする人が多い。そういう人を人生で何人も見てきた。

 僕が思うに、そういう人たちは、思い込みの激しい自信が、自信を支える根拠なのだ。

 僕は、このところに「自分を低くする者は、高められる」の秘密が隠されていると思っている。

 柔和な人で、なおかつ神の前に低くなる人は、学びを進めていくことができる。

 自信の人は、行き着いたところで停滞する。そうして、その卑小な自信を死に物狂いで守るために自らの考えを曲げない。つまり、学習しない。

 否定されることによって高められる弁証法は、以前の自己を保存しながら自己を放棄するという奇跡を起こす。

 自信の人の誇りは、針小棒大にした経験、生得的な才能、生きながらえた年数、健康さの勝利など。甚だ愚かなり。

「同じようにすれば同じようになれる」という錯誤。ナンパ師の猿真似をする信者。

 理解に疎い者ほど、強く理解した気になる。理解する一番の方法は理解しないことである。

 彼らに他者はいない。しかし他者はそこにある。

 しかし、あなたを導くあなたの神様が、あなたに恵みを注ぎ、あなたの良心も悪い心も存じ上げておられ、そのうえであなたを祝福し、赦すのだろう。

「神様も仏様も人間の作りものだ」とは常識の考え方だが、それはそうだろうと、愛の体験の内側において、大いなる方がわたしたちを造られたのだ。しかし、確かに「人間の作りもの」だという話は間違いではないだろう。

 わたしたちが万人に対して同様の対応をしないように、また、職場の顔と交友の顔が異なるように、わたしたちは自転車に乗り降りすることができる。

 焚火のあるところには、人も集まるものだ。

 その時あなたは、じっと身を屈めるだろう。

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